神戸国際フルートコンクール審査員によるガラ・コンサート
6月2日(金)神戸文化ホールへ。
第9回神戸国際フルートコンクール審査員によるガラ・コンサートを聴いた。2009年(第7回)の感想はこちら。この時、審査員だったウィーン・フィルのヴォルフガング・シュルツは2013年に亡くなった。
第9回に至るまでには紆余曲折があった。「市民への浸透度が低い」として神戸市が補助金を打ち切ったのである。しかし久元喜造市長が東奔西走し、スポンサーを見つけ、なんとか開催にこぎつけたのだった。ちなみに市長の妻は国立音楽大学准教授でピアニストの久元祐子である。
今回の演奏家は以下の通り。
アンドラーシュ・アドリヤン(元ミュンヘン国立音楽大学教授)
フィリップ・ベルノルド(パリ国立高等音楽院教授)
エミリー・バイノン(ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団首席奏者)
ヴァリー・ハーゼ(フランツ・リスト・ヴァイマル音楽大学教授)
神田寛明(NHK交響楽団首席奏者)
ミヒャエル・マルティン・コフラー(ミュンヘン・フィル首席奏者)
工藤重典(パリ・エコール・ノルマル教授/水戸室内管首席奏者)
酒井秀明(日本フルート協会副会長)
尹慧利(ソウル国立大学教授)
神戸国際フルートコンクールの過去の入賞者には第2回で優勝したエマニュエル・パユ(現ベルリン・フィル首席奏者)や、第4回で第2位となったマチュー・デュフォー(シカゴ交響楽団→現ベルリン・フィル首席奏者)がいる。エミリー・バイノンは第3回の第3位。
曲目は、
- 林光:「花」変奏曲〜滝廉太郎の主題による(神田)
- アミロフ:フルートのための6つの作品より(バイノン)
- W.F.バッハ:フルート2重奏 第3番(ハーゼ、コフラー)
- ベートーヴェン:ロマンス 第2番(工藤)
- タファネル:アンダンテ・パストラールとスケルツェッティーノ
(ベルノルド) - メシアン:黒つぐみ(酒井)
- ドップラー:グランド・ファンタジー(アドリアン)
- カステレード:笛吹きの休日(神田、酒井、尹)
- ショパン:ロッシーニの主題による変奏曲(コフラー)
- M. マレ:スペインのフォリア(ハーゼ)
- モーツァルト:ソナタ K.448 第2楽章(アドリアン、工藤)
- 尹 伊桑:エチュード 第5番(尹)
- ドップラー:華麗なワルツ(ベルノルド、バイノン)
神田の音は柔らかく、羽根のように軽い。
バイノンは子守唄での弱音が美しく、舞曲は切れがあってすばしっこい。強靭なバネで跳ねる。
大バッハ(ヨハン・セバスチャン)の長男、ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハの曲ではヴィブラートが抑えられ、飾らない簡潔な響きが心地よい。整った美が感じられた。またフーガの掛け合いがスリリング。
工藤のベートーヴェンは太い音が特徴。またタファネルの楽曲は華麗だった。
「笛吹きの休日」はキュートでお洒落。
コフラーの吹く「ロッシーニの主題による変奏曲」は正確無比、律儀な開始から超絶技巧へ。最後は「熊蜂の飛行」みたい。
ハーゼの奏でるマリン・マレ(1656-1728、仏)は凛として気高い。
尹 伊桑(ユン・イサン)の楽曲は龍笛や尺八を彷彿とさせる雰囲気があり。調べてみると彼は大阪音楽学院や東京で作曲を学んでいる。
最後のドップラーは「お花畑でパーティ!」といった感じだった。
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