関西弦楽四重奏団✕豊嶋泰嗣/ブルックナー:弦楽五重奏曲
6月5日(月)大阪倶楽部へ。関西弦楽四重奏団✕豊嶋泰嗣(新日本フィル・コンサートマスター)で、
- モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのためのデュオ K.424
(ヴァイオリン:林 七奈/ヴィオラ:豊嶋泰嗣) - モーツァルト:弦楽四重奏曲 第19番「不協和音」
- ブルックナー:弦楽五重奏曲
林 七奈(大阪交響楽団コンサートマスター)と豊嶋は夫婦。だからモーツァルトのデュオは夫唱婦随というか、夫のほうが低音を担当しているから婦唱夫随かな。
豊嶋のヴィオラは初めて聴いたが、豊かな太い音色で味わい深かった。低音部がどっしりと支えているので音のピラミッドが美しく構築され、耳に心地よい。ヴィオラの秀演と言えば僕は今までに今井信子、清水直子(ベルリン・フィル首席ヴィオラ奏者)、アントワン・タメスティ(ミュンヘン国際音楽コンクール優勝)などを生で聴いてきたが、豊嶋の演奏は全く遜色なかった。ヴァイオリンの名手はヴィオラもいけるんだね(逆に今井信子のヴァイオリンは下手だった)。
モーツァルトのカルテットは潤いがあって瑞々しく、ピチピチしてた。ただ事ではない躍動感で満ちていた。
ブルックナーのクインテットを生で聴くのは初めて。日本では滅多に演奏される機会がない曲。いぶし銀の音色で開始され、分厚いハーモニーでド迫力だった。ブルックナーが描く宇宙がそこには感じられた。特に第3楽章アダージョは白眉で、教会の螺旋階段をじわじわと上(天)に向かって登っていくような高揚感があった。今までこの曲をCDなどの音源で聴いてきた印象は「ミニチュアの交響曲」だった。つまりブルックナーは交響曲だけで十分で、クインテットは不要。その考えを改めさせるだけの説得力が関西弦楽四重奏団(✕豊嶋泰嗣)にはあった。
ロータス・カルテットやクァルテット・エクセルシオなど日本人による常設弦楽四重奏団に対しては失望(否、絶望)しかなかったので(東京クヮルテットは良かったけれど解散してしまった)、彼らの存在は救いである。今年11月からフェニックスホールで始まるベートーヴェンの弦楽四重奏曲 全曲ツィクルスには大いに期待したい。
| 固定リンク | 0
「クラシックの悦楽」カテゴリの記事
- 武満徹「系図(ファミリー・トゥリー)-若い人たちのための音楽詩-」を初めて生で聴く。(佐渡裕/PACオケ)(2022.01.26)
- エマニュエル・パユ(フルート) & バンジャマン・アラール(チェンバロ) デュオ・リサイタル(2021.12.11)
- ミシェル・ブヴァール プロデュース「フランス・オルガン音楽の魅惑」Vol. 1(2021.12.10)
- 厳選 序曲・間奏曲・舞曲〜オペラから派生した管弦楽の名曲ベスト30はこれだ!(2021.09.17)
コメント