ハクソー・リッジ
評価:A
アカデミー賞で録音賞と編集賞を受賞。また他に作品賞・監督賞・主演男優賞・音響編集賞と計6部門にノミネートされた。公式サイトはこちら。
僕は今まで100本を上回る戦争映画を観てきた。第2次世界大戦に限っても優に50本を超えるだろう。しかし衛生兵(medic)を主人公にした作品は初めてだなぁ。
実話である。主人公は「良心的兵役拒否者(Conscientious objector)」。またセブンスデー・アドベンチスト教会(キリスト教系の新宗教)の敬虔な信者でもある。
日本の配給会社が沖縄戦が背景になっていることを隠蔽しているとSNSで批判が噴出している。でも、しょうがないんじゃない?誰もわざわざ日本人が悪者になる映画を観たくはないでしょう。それは立場が違えば同じことで、例えば日本映画には新藤兼人監督「原爆の子」、今村昌平監督「黒い雨」など原爆をテーマにした有名な映画が沢山あるが、アメリカ人に殆ど観られていないし、あちらで高い評価もされていない。だって自分たちが加害者の映画なんて嫌でしょう。だから昨年日本で最大級の賛辞を浴びた「この世界の片隅に」が今年北米で公開されるが、観る人は少ないだろうし、アカデミー賞ノミネートとかを期待しないほうが賢明である。閑話休題。
「ブレイブハート」(アカデミー作品賞・監督賞など受賞)の頃からそうなのだけど、メル・ギブソンの演出の特徴は過剰であること。例えばストップ・モーションの多用。本作でも「もうええわ!お腹いっぱい」と言いたくなった。何もかもがtoo muchなのだ。しかしその【こってり】した【しつこさ】が持ち味となり、ド迫力の映像を生み出していることもまた事実である。映画冒頭、画面のあちこちで火の玉人間たちが所狭しと駆け回っているのには度肝を抜かれた!火炎放射器といえばナチス・ドイツの専売特許だと思っていたが(中学生の時にテレビで観たロベール・アンリコ監督「追想」は激烈だった。僕のトラウマ映画である)、アメリカ兵もサイパン・硫黄島・沖縄で使用していたんだね。何とも恐ろしい。地獄だ。
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