映画「帝一の國」と鈴木清順「けんかえれじい」
評価:A
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映画館で予告編は何度も観ていたが、全く食指が動かなかった。しかし蓋を開けてみると巷で大評判なので、重い腰を上げた。そして観て驚いた。面白過ぎる!!先入観で判断して申し訳なかった。映画のスタッフに謝りたい。靴舐めでもなんでもしますよ。
映画館で驚いたのは女性客の多さ。8割5分程度。男ひとりは僕くらいで、殆どが女2人連れかカップル。それも女子高生から初老のオバちゃん達まで、年齢層が幅広い。菅田将暉、竹内涼真、千葉雄大らイケメン男優を集めた東宝の戦略勝ちであろう。
生徒会長選挙が日本の派閥政治の縮図となっている。この構図は鈴木清順監督、新藤兼人脚本の「けんかえれじい」に近いなと感じた。旧制中学を舞台に展開される少年たちの喧嘩が最後に北一輝と結びつき、二・二六事件(青年将校の反乱)へと繋がっていく。
間宮祥太朗演じる氷室ローランドは三島由紀夫がモデルだなと想った。校舎屋上でのパフォーマンスなど、自衛隊市ヶ谷駐屯地での事件を彷彿とさせる。「架空切腹」も出てくるしね。因みに三島はゲイだった。
劇中、主人公の帝一がリストの「ため息」を弾くのでハッとした(原作漫画にはない)。大林宣彦監督の映画「姉妹坂」やテレビ朝日で放送された「三毛猫ホームズの推理」、BS-iで放送された「告別」などで使用されている曲である。永井聡監督はCMディレクター出身だそうで、先輩である大林監督へのオマージュなのかな?
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