ハーゲン弦楽四重奏団@いずみホール
6月29日(金)いずみホールへ。ハーゲン弦楽四重奏団を聴く。
- ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第3番 ヘ長調
- ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調
- ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第14番 嬰へ長調
- ハイドン:弦楽四重奏曲 第78番「日の出」より
第3楽章 メヌエット(アンコール)
ベートーヴェン最後のカルテットを挟み、滅多に聴く機会がないショスタコを2曲。ヴィブラートを抑えた柔らかい音色が不穏に響く。第二次世界大戦直後、交響曲第8番と同時期に作曲されたSQ 第3番は軽やかだが、ねちっこい。第14番の第1楽章からはショスタコの怨嗟、はけ口のない憤怒、苦渋、辛酸といった諸々の感情がドロドロしたマグマのように湧き上がってくる。第2楽章は絶望と諦念、そして虚無。空恐ろしい孤独。そして終楽章で作曲家は静かに発狂し、灰になる。終結部は魂の救済、やっと訪れた平安。
ベートーヴェンの16番は重量級の13〜15番と比べると「軽い」「呆気ない」印象を今まで持っていたのだが、どうしてどうして、ハーゲンの演奏を聴くとショスタコ同様不気味で謎めいた楽曲に聴こえてきて驚いた。
アンコールのハイドンは甘くない。でも馥郁たる香りが立ちこめ、さすがオーストリア・ザルツブルク生まれのハーゲン兄弟だなと感じ入った。
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