ミュージカル「紳士のための愛と殺人の手引き」と変装の名人について
5月6日(土)梅田芸術劇場で「紳士のための愛と殺人の手引き」を観劇した。
2014年にトニー賞で作品賞・台本賞・演出賞・衣装デザイン賞と4部門を受賞したミュージカルの日本初演。殺される8役を全て市村正親が演じている。他に出演者は柿澤勇人、シルビア・グラブ、宮沢エマ(母方の祖父は元内閣総理大臣・宮沢喜一)、春風ひとみ 他。
シルビア・グラブは芝居も歌も大変うまい役者さんだが、如何せん42歳であり、年をとり過ぎている。柿澤勇人が29歳だからその恋人役にはちょっと……。まぁフランスのマクロン大統領みたいに25歳年上の女性と結婚する人もいるけどさ。
エドワード朝時代のイギリスが舞台になっており、ユーモアのセンスがアガサ・クリスティの推理小説みたい。あと連想したのが映画「毒薬と老嬢」(1948)とか「マダムと泥棒」(1955)など。イギリス映画「マダムと泥棒」にはアレック・ギネス(「戦場にかける橋」でアカデミー主演男優賞受賞。「スター・ウォーズ」のオビ=ワン・ケノービ役で有名)やピーター・セラーズ(「ピンク・パンサー」「博士の異常な愛情」)が出演してるが、ふたりは変装の名人として名声を轟かせていた。現在の変装の名人といえば、ティルダ・スウィントン(「オルランド」「グランド・ブタペスト・ホテル」「ドクター・ストレンジ」)にとどめを刺す。全員英国人。これはもう、国民性というか習性だね。
今回のいっちゃん(市村)の変装はゲイあり、女性あり。「ラ・カージュ・オ・フォール」のザザを長年演じているわけだし、こんなのお茶の子さいさい。
ミュージカルとしてはオーソドックスと言うか古めかしかった。あまり繰り返し観たいと想わない。振り返ると過去にトニー賞を受賞した「ライオン・キング」とか「春のめざめ」とかは革新性( innovation)があった。それがこの作品には欠けている。
そういえば柿澤勇人の「春のめざめ」は素晴らしかった。ぶっ飛んだ。また彼で観たいが、劇団四季を退団したからなぁ……。
- 「春のめざめ」と現代ブロードウェイ・ミュージカル論
(2009年9月@東京)
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コメント
アフタートークショーがあった回と千秋楽を観てきました。私は 安定したもの 定番が好きなので、再演があったら観にいくと思います。(ただし市村さんならば、ですが)キューティブロンドも再演が決まったとのことですし、これも再演が決まればいいなあと思っています。
投稿: ディズニーラブ | 2017年5月20日 (土) 19時45分
ディズニーラブさん、コメントありがとうございます。
勿論トニー賞を受賞した高品質の作品ですし、嫌いじゃないんです。しかしそれとrepeatability(繰り返し観たいかどうか)は全く別なんですね。市村さんが主演する「ラ・カージュ・オ・フォール」は5回位観ていますし、「ミス・サイゴン」は9回、再演が決まった「屋根の上のヴァイオリン弾き」もまた足を運びます(次が3回目?)。不思議なものですね。
投稿: 雅哉 | 2017年5月20日 (土) 21時31分