夜明け告げるルーのうた
評価:B+
公式サイトはこちら。
湯浅政明は監督デビュー作「マインド・ゲーム」や、テレビ・アニメ「四畳半神話大系」(2作品とも文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞)を観れば判る通り、天才である。それは紛れもない事実だ。先月公開され、A+の評価をつけた「夜は短し歩けよ乙女」のレビューはこちら。
湯浅作品の特徴を一言で評すなら「疾走する狂気」であろう。その世界観は毒気に満ち、過剰でサイケデリック(LSDなどの幻覚剤によって生じる幻覚や陶酔状態を想起させるさま)だ。ビートルズの傑作アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」に収録された"Lucy in the Sky with Diamonds"を彷彿とさせる。頭文字を繋げるとLSDとなり、ジョン・レノンがドラッグを飲みラリって見た幻覚を歌っているとも言われる。
そのサイケさは確かに「夜明け告げるルーのうた」にも残り香のように漂ってはいるが、強烈な「マインド・ゲーム」と比べると、毒が薄まっている感は否めない。
湯浅監督は余りにも個性的すぎて、マニアックなファンはいるが一般受けしない。しかし本作は東宝配給だし、健全な少年少女にも何とか馴染めるものにしようと涙ぐましい努力をしている。つまり王道を目指しているという意図はよく判る。
ただね、皆が指摘しているように人魚と少年の出会いの物語は「崖の上のポニョ」だし、ルーのお父さんの造形は明らかにトトロ、または「パンダコパンダ」のパパンダだ。どうしても既視感があって新鮮味が乏しいと断じざるをえない。僕は言いたい。「湯浅さん、無理して一般客に媚びんなよ。ありのまま(Let It Go)でいいじゃんか」
結局、「夜は短し歩けよ乙女」はお世辞にもヒットしたと言えないし(僕は大好きだけど)、「夜明け告げるルーのうた」は平日19時5分からの上映回を観たが、観客はたった3人。閑古鳥が鳴いていた。
Netflixで配信予定の湯浅監督「デビルマン」に期待したい。今度は周囲の雑音を気にせず、伸び伸び羽ばたいてください。
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