That's 少女漫画!〜ミュージカル「王家の紋章」
5月29日(月)梅田芸術劇場へ。ミュージカル「王家の紋章」を観劇。
出演は浦井健治(メンフィス:エジプト王)、新妻聖子(キャロル)、平方元基(イズミル:エジプトと敵対するヒッタイト国の王子)、伊礼彼方(ライアン:キャロルの兄)、愛加あゆ(ミタムン:イズミルの妹)、濱田めぐみ(アイシス:メンフィスの異母姉)、山口祐一郎(イムホテップ:エジプトの宰相。賢人)ほか。
「エリザベート」や「モーツァルト!」などのミュージカルを手掛けたハンガリーの作曲家シルヴェスター・リーヴァイが音楽を、元宝塚歌劇団に所属していた荻田浩一が台本・作詞・演出を担当した。
物語の前半はヴェルディのオペラ「アイーダ」を下敷きにしているなと感じた。つまり、メンフィス=ラダメス(エジプト軍の指揮官)、キャロル=アイーダ、イズミル=アモナズロ(エチオピア王)、アイシス=アムネリス(エジプト王女、ラダメスを愛している)、イムホテップ=ラムフィス(祭司長、ラダメスこそ司令官に相応しいとの神託を得る)という関係性である。
そして後半、キャロルを巡ってエジプト王国とヒッタイト王国が戦争になるのは、美女ヘレネがトロイアの王子パリスによって略奪されたことが切っ掛けで勃発するトロイア戦争だ。
前半は中々話に乗れなかった。そもそもアメリカ人のキャロルとメンフィスは何語で会話しているんだ!?という所から気になって仕方なかった。キャロルは古エジプト語を勉強していて話せるという設定なの??
本作を観て直ぐ様感じたのはThat's 少女漫画!ということ。まず逆ハーレムだ。キャロルはモテモテで、メンフィス、イズミルのみならず実のお兄ちゃん(ライアン)からも溺愛されている。そして自分を巡って2国間で戦争が勃発するなんて、正に少女の甘き夢、妄想だよね。読んでいてさぞやウットリ、心地良いことだろう。僕は男なので全く感情移入出来なかったが、可笑しくてニヤニヤしながら観劇した。そして「リーヴァイさん、こんなしょーもない話に世界的な名声を誇る貴方が立派な音楽を付けてくださってありがとう。恐縮です」と内心で呟いた。しかし何だかんだ言っても面白かったから、もう一回観てもいいな。
出演者は実力者揃い。新妻聖子は堂々とした貫禄があり、歌もうまいのだけれど、キャロルを演じるにはちょっと年をとりすぎているかな?と感じた。もう36歳だからね。そういう意味でミス・キャストだろう。高畑充希(25)、唯月ふうか(20)、生田絵梨花(20)、木下晴香(18)あたりが妥当なのでは?
オギー(荻田浩一)の演出は可もなく不可もなし。彼の最高傑作は未だに「パッサージュ -硝子の空の記憶-」(2001年宝塚雪組公演)だと想う。あれは洗練されていた。それとミュージカル「王家の紋章」は、このまま宝塚でも上演出来るんじゃないかな?
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