映画「 雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」/邦題について。
評価:B+
あの「ナイトクローラー」の記憶も新しい怪優ジェイク・ギレンホールの主演作である。公式サイトはこちら。
原題はDemolition=解体・破壊という意味である。ブライアン・サイプが執筆し、2007年のBlack List(未だ映画化されていない優れたシナリオ)に載っていたものが15年に映画化された。因みに同年は「スラムドック・ミリオネア」「ダウト」「ビッグ・アイズ」「インビクタス/負けざる者たち」「ヒッチコック」「グローリー/明日への行進」等もリスト・アップされていた。
驚いたのは西川美和 脚本・監督「永い言い訳」との類似である。突然の妻の事故死、しかし夫は泣けず、悲劇の主人公の振りをする。そして心からの涙を流すまでの物語。そっくりだ。しかし結末に達するまでの過程が両者で全く異なる。そこに日米の違い、また作者の性の違いが如実に現れているところが面白い。ちなみに西川美和が書いた小説「永い言い訳」(直木賞/山本周五郎賞候補、本屋大賞ノミネート)が出版されたのは2015年2月。多分偶然の一致なのだろう(ただし、Black Listに掲載されていたシナリオを西川が入手して読んでいた可能性は100%否定出来ないが)。
困っちゃうのが邦題だ。意味不明。実はこれ、車の日除け(サンシェード/サンバイザー)から出てきた亡き妻のメモが由来となっている。
If it's rainy, You won't see me. If it's sunny, You'll Think of me.
雨の日だと、運転中に日よけを下ろさないからこのメモには気付かないわね。でももし晴れの日だったら、(メモを見つけて)私のことを想い出して。
しかしこれが「 雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」だと全く別の意味になって映画にそぐわない。配給会社ファントム・フィルムのセンスを疑う。
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