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2017年3月10日 (金)

周防亮介、クァルテット・ベルリン・トウキョウ@ザ・フェニックスホール

2月19日(日)ザ・フェニックスホールへ。

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ほぼ2つ分のコンサートを連続で聴いちゃおうという"Sunday Surround Salon"という企画。14時開演で終演は17時40分、3時間半を超える長丁場。これをB席(2階)2,000円という破格の安さで聴いた。1階席はステージを囲むように席が配置された。

【第1部】周防亮介(ヴァイオリン)、三又瑛子(ピアノ)

  • イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第6番
  • J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番
  • パガニーニ:ロッシーニの歌劇「タンクレディ」のアリア
    「こんなに胸騒ぎが」による序奏と変奏曲
  • フランク:ヴァイオリン・ソナタ
  • フォーレ:夢のあとに(アンコール)

【第2部】クァルテット・ベルリン・トウキョウ

  • ハイドン:弦楽四重奏曲 第38番「冗談」
  • バルトーク:弦楽四重奏曲 第3番
  • ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第8番
    「ラズモフスキー第2番」
  • グラズノフ:5つのノヴェレッテ
    第2曲「オリエンタル」(アンコール)

「題名のない音楽会」にも数度出演している周防亮介はフェミニン(feminine)な人である。長髪(髪型はボブ)色白の外見もそうだし、声のトーンも非常に高い。しかし外見とはあべこべで、彼のヴァイオリンの音は力強く深い。

イザイの第6番はスペイン出身のヴァイオリニスト、マヌエル・キロガに献呈された。スペインの血が滾り、周防は荒々しい表現も辞さない。

バッハのパルティータでは無骨で野太い音を奏でた。終曲シャコンヌの前にハンカチを取り出して汗を拭き、調弦をして一息ついた。そして始まった音楽は息詰まる緊迫感と焦燥感に満ちていた。

パガニーニはこれでもかっ!という超絶技巧。

フランクのソナタは憂愁の香りが匂い立つ。しかしそこには芯の通った意思があった。

クァルテット・ベルリン・トウキョウは2011年に結成された。発足時は日本人が3人で、4人全員がドイツのベルリンに留学していたということで命名された。現在は第1ヴァイオリン(守谷剛志)とチェロ(松本瑠依子)の2人が日本人。2014年度 青山音楽賞を受賞した際のインタビュー記事はこちら

ハイドンは軽やかで、はしっこい(捷い/敏捷い)。

バルトークはpowerfulで繊細、精緻。

ベートーヴェンの演奏はツメの甘さが目立った。この作曲家には切断する父性、峻厳さがもっと欲しい。

アンコールのグラズノフは豪快でdynamic、濃い演奏で◎。

結論としてこの四重奏団は古典派よりも近現代の楽曲の方がウマが合っている。ショスタコーヴィチやコルンゴルト、マニャールなどのカルテットを今後聴いてみたいな。

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