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2017年3月13日 (月)

韓国映画「お嬢さん」(R18+)

評価:A

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Hand

ロサンゼルス映画批評家協会賞及びサンフランシスコ映画批評家協会賞でそれぞれ美術賞&外国語映画賞をダブル受賞。ほか全米批評家協会賞外国語映画賞やナショナル・ボード・オブ・レビューのトップ5にも選出された成人映画である。原作はサラ・ウォーターズの「荊の城」。「このミステリーがすごい!」で第1位になった。小説の舞台はロンドンで2005年にイギリスBBCがテレビドラマ化している。映画版は日本統治下の韓国のお話に翻案されている。

パク・チャヌク監督の作品を初めて観たのがイ・ヨンエ主演「JSA」だった。これはイマイチだったけれど、カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞した「オールド・ボーイ」には打ちのめされた。しかし【復讐3部作】の他の2作品「復讐者に憐れみを」と「親切なクムジャさん」はえげつない残酷描写に気持ち悪くなっただけだったし、血まみれの「渇き」も感心しなかった。「お嬢さん」は僕が観る彼の映画の6本目ということになる。

「オールド・ボーイ」以来、久しぶりに面白いと想った。この監督特有の痛い(サディスティックな)描写も健在。でも今回は(「復讐者に憐れみを」「親切なクムジャさん」と違い)不快じゃない。新機軸だなと感じたのは初めてユーモアを感じたこと。その変態性には更に磨きがかけられ、残酷シーンでも何だかふと笑えちゃうんだよね。「あまちゃん」のクドカン(宮藤官九郎)が絶賛するのも頷ける。あと美術セットが素晴らしく、ひたすら耽美。覗きの描写など江戸川乱歩の世界に近いなと感じた。彼が「屋根裏の散歩」を撮っても似合うんじゃないだろうか?あと谷崎潤一郎の「卍」とか「春琴抄」とか。

主役の女優2人は美人だし、韓国女優は何と言っても脱ぎっぷりが潔い。エロティックというよりも、むしろ爽快だった。

音楽もなかなか良くて、ハープによる独奏が聴こえて来る場面は女吸血鬼を描くロジェ・ヴァディム監督「血とバラ」(1960)を意識しているんじゃないかなと想った。「血とバラ」と「お嬢さん」はどちらも百合族的世界観だし、そもそも「渇き」も吸血鬼映画だ。パク・チャヌクはこういうのが好きなんだよ。

物語について語るのは難しい。コン・ゲームと書いただけで既にネタバレだしね。ま、とにかく傑作だから観てください。ただし、高校生以下の健全な少年少女は絶対にダ・メ・ヨ

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