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「ラ・ラ・ランド」を観る前に是非予習しておきたい映画たち(優先順位付き)

世紀の傑作「ラ・ラ・ランド」は過去の映画へのオマージュに満ちている。予備知識がなくても十分愉しめるが、知っていればより一層味わい深くなる。そういう作品である。というわけで優先順位付きで紹介していこう。

  1. シェルブールの雨傘 (1964)
  2. ロシュフォールの恋人たち (1967)
  3. ザッツ・エンターテイメント (1974)
  4. スタア誕生 (1954)
  5. マルホランド・ドライブ (2001)
  6. カサブランカ(1942)

ジャック・ドゥミ監督のフランス映画「シェルブールの雨傘」と「ロシュフォールの恋人たち」は問答無用で必須ね。で直接関係はないが、どうせなら【港町三部作】の発端となる「ローラ」(1961)からご覧になることをお勧めしたい。詳しくは下記事に書いた。

ハリウッドの「巴里のアメリカ人」」(51)と「雨に唄えば」(52)の影響も色濃いのだが、そんなことを言い出したらキリがない。だからここは集大成としてMGMミュージカルのアンソロジー(ハイライト集)である「ザッツ・エンターテイメント」第1作にとどめを刺す。「巴里のアメリカ人」「雨に唄えば」のみならず「踊るニュウ・ヨーク」(40)、「バンド・ワゴン」(53)など「ラ・ラ・ランド」が引用した場面が次から次へと走馬灯のように現れては消える。賭けてもいいがデイミアン・チャゼル監督が最初に観たのがこの「ザッツ・エンターテイメント」だったに違いない(何故なら僕もそうだったから)。

なお、やはり「ラ・ラ・ランド」で引用されたガワー・チャンピオン夫妻が踊る「煙が目にしみる」は「ザッツ・エンターテイメント part II」、ボブ・フォッシー振付・監督「スウィート・チャリティ」(69)は姉妹編である「ザッツ・ダンシング!」に収録されている。

「ラ・ラ・ランド」の物語構造はジョージ・キューカー監督「スタア誕生」と密接にリンクしている。つまりライアン・ゴズリング演じるセブ=ジェームズ・メイソンの役どころであり、エマ・ストーン演じるミア=ジュディ・ガーランドであると言えるだろう。ヒロインがスターになった時、彼女を導く天使の役割を終えた男はただ、去りゆくのみ。♪The Man that Got Away♪ 是非映像でご覧ください→こちら。「ラ・ラ・ランド」にこれとそっくりなシーン(男女逆転バージョン)があるでしょう?

そして「ラ・ラ・ランド」の終盤、壮大なダンス・シーンは明らかにデヴィッド・リンチ監督「マルホランド・ドライブ」仕様になっている。序でに言えば、「マルホランド・ドライブ」の元ネタであるビリー・ワイルダー監督「サンセット大通り」(1950)も併せてどうぞ。マルホランド・ドライブもサンセット・ブルーバードもロサンゼルス(LA)を通る道路の名称である。「マルホランド・ドライブ」と「サンセット大通り」のテーマは【ハリウッド(LA)とは何か?】であり、それは"LA LA LAND"にも通底している。因みにデイミアン・チャゼル監督が選ぶ「ロサンゼルスを舞台にした映画ベスト10」のリストは→こちら。「サンセット大通り」ではハリウッドセレブのお宅のプールが重要な役割を果たすことも指摘しておこう。

カサブランカ」と本作の深い関わりはこれ以上書くとネタバレになるので、映画をご覧になった後で下記事をお読み頂きたい。

またヒロインのミアが5年後に自分が嘗て勤めていた映画撮影所内のカフェを訪ねる場面があるが、ここはアカデミー作品賞を受賞したジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督「イヴの総て」(1950)を彷彿とさせる。当時、新進女優だったマリリン・モンローが映画の最後に登場する場面ね。モンローの絵も「ラ・ラ・ランド」に出てくる。

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コメント

こんにちは。はじめまして。
ラ・ラ・ランド、本日観ましたが面白かったです。
詳しく掘り下げた大変興味深い記事をありがとうございます。
確かにさまざまな名作へのオマージュがてんこ盛りですね。

ところで、ミアが「伯母がセーヌ川に飛び込んだ」と歌うエピソードは、
フランソワ・トリュフォーの「「突然炎のごとく」で、
ジャンヌ・モローがセーヌ川に飛び込むシーンを踏まえているのではないでしょうか。
実際モローはその後しばらく体調を崩したそうですし。

投稿: 木曽のあばら屋 | 2017年2月25日 (土) 23時20分

木曽のあばら屋さん、コメントありがとうございます!

考えてもみませんでしたが、言われてみれば仰るとおりですね。僕はトリュフォーが(「未知との遭遇」の演技も含めて)大好きなのですが、ジャンヌ・モローは怖そうなおばさんで苦手です(ジャック・ドゥミ「天使の入江」の彼女は良かった)。トリュフォー作品の中でお気に入りは「恋のエチュード」「大人は判ってくれない」「隣の女」なのです。あと「ラ・ラ・ランド」でキスするふたりをカメラがくるくる360度回りながら撮るでしょう?あれは明らかにクロード・ルルーシュの「男と女」ですよね。

投稿: 雅哉 | 2017年2月26日 (日) 00時26分

追記です。フランス映画といえば「ラ・ラ・ランド」終盤のダンス・シーン(ミアとセブの妄想)にアルベール・ラモリス監督「赤い風船」(1956)の少年も登場しますね。「巴里のアメリカ人」を彷彿とさせるマネキン人形として。

投稿: 雅哉 | 2017年2月28日 (火) 23時10分

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