長澤まさみ✕石丸幹二✕松尾スズキ/ミュージカル「キャバレー」
2月4日(土)フェスティバルホールへ。松尾スズキ演出、長澤まさみ、石丸幹二、小池徹平主演のミュージカル「キャバレー」大阪公演を観劇した。
兎に角、「長澤まさみがエロい!」と大評判で、チケットは闇で10万円にまで高騰したという。これに対して松尾は次のようにTweetした。
読みました。チケットが10万円で取引されてるのが、凄いことのように書かれてることに感覚のズレを感じます。あと、俺の名前少しは書けよとも。 https://t.co/LShzpQYt81
— 松尾スズキ (@matsuosuzuki) 2017年1月30日
松尾スズキ演出の「キャバレー」は2007年11月に観ており、こちらに感想を書いた。1966年のブロードウェイ初演から72年の映画化、華々しいリヴァイヴァル版上演に至る歴史についても詳しく語っているので是非ご一読願いたい。それにしても松尾版の再演まで10年も待たされるとは!その間2010年に小池修一郎演出、藤原紀香主演でも上演されているので(そちらの感想はこちら)、版権問題で手間取ったのかもしれない。
僕は今まで舞台で、4人の女優がヒロインのサリー・ボウルズを演じるのを観ている。アメリカからのツアー・カンパニーで2度の来日を果たしたアンドレア・マッカードル(ミュージカル「アニー」タイトル・ロールのオリジナル・キャスト)、2001年にブロードウェイの劇場で観たブルック・シールズ、2007年松尾版の松雪泰子、2010年藤原紀香。結論。5人目の長澤まさみが最高だった!松雪のサリーは自堕落で退廃的雰囲気が漂っていたのだが、長澤は若さや生命力に満ち溢れ、はち切れんばかりの輝きを放散した。彼女には「どんな過酷な状況下でも生き抜いてやる!」というタフさ、強(したた)かさがあった。松雪はnegative、長澤はpositive。ある種ヤケクソなパワーを感じた。心配した歌の方も問題なし。まさみちゃん、お願いだから「人生最初で最後のミュージカル」なんてつれないこと言わないで、ぜひもう一回挑戦して!
余談だが、ブロードウェイの「キャバレー」では、映画「ラ・ラ・ランド」でアカデミー主演女優賞を獲る(予定の)エマ・ストーンがサリーを演じた(2014年11月11日〜2015
2007年松尾版でM.C.を務めたのは阿部サダオ、今回は石丸幹二。全くタイプが異なる役者であり、当然演出も様変わりしている。僕は石丸のことを劇団四季時代から知っており、ロイド=ウェバーの「アスペクツ・オブ・ラブ」やミシェル・ルグランの「壁抜け男」日本初演初日@福岡シティ劇場(現:キャナルシティ劇場)も観ているのだが、今回の彼は一番イキイキしていて生涯のベスト・パフォーマンスと太鼓判を押したい。第2幕では得意とするサックスの生演奏も披露してノリノリだった。
小池徹平は受け身の役どころなので無難にこなした印象。2007年の森山未来とどっこいどっこいかな。
シュナイダー役の秋山菜津子やシュルツ役の小松和重、平岩紙、村杉蝉之介ら前回からの続投組(劇団・大人計画)は手堅い芝居でしっかりと脇を固めていた。
猥雑な松尾の演出も冴えている。下品な笑いに彼のセンスがキラリと光る。通常ではM.C.がゴリラの着ぐるみを着た女性店員と、世界中の誰も認めない愛について歌い踊るナンバー"If You Could See Her"が新演出ではディメンターみたいな背丈が等身大の2倍ある死神(骸骨姿)に変更になっていたのも良かった。
再々演を熱望する。
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