クレメンス・ハーゲン&河村尚子/デュオ
1月8日(日)兵庫県立芸術文化センター小ホールへ。
ハーゲン・クァルテットのメンバーであるクレメンス・ハーゲン(チェロ)と河村尚子(ピアノ)のデュオ・リサイタルを聴く。因みに河村は兵庫県西宮市生まれ。地元でのコンサートだ。
- シューマン:5つの民族風の小品集
- ベートーヴェン:チェロ・ソナタ 第2番
- ラフマニノフ:チェロ・ソナタ
- フランク:チェロ・ソナタ 第1楽章(アンコール)
ベートーヴェンとラフマニノフのソナタはどちらもト短調で調性が同じ。
ハーゲンのチェロは伸びやかに歌い、雄弁であると同時にキレがある。
ベートーヴェンでふたりは生を謳歌する。第1楽章の序奏は厳格な雰囲気で開始されるが、主部に入るやいなや感情が迸る。ピアノは力強く弾け、だが軽過ぎない。いい塩梅だ。
ラフマニノフのソナタは霧が立ち込めて視界が効かない、あるいは粉雪が舞う情景を連想させる。何とも幻想的な雰囲気だ。僕はトルストイの小説「アンナ・カレーニナ」(1877年出版)のことを想い出した(駅での轢死場面)。
因みにラフマニノフは交響曲第1番の初演が惨憺たる失敗で大ブーイングを浴び、神経衰弱に陥る。そこで友人の仲介もあり、1899年に敬愛するトルストイの自宅を訪ね自作の歌曲「運命」を披露した(しかしここでも「誰がこんな曲を聴きたいと思うかね?」と老作家の不興を買い、5日間寝込むことになる)。
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