やっとコルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲の実演が聴けた。〜大響定期
12月8日(木)ザ・シンフォニーホールへ。
寺岡清高/大阪交響楽団、小林美樹(ヴァイオリン)で、
- コルンゴルト:「雪だるま」前奏曲とセレナーデ
- コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲
- ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」
漸くである。この日が来るのをどれだけ待ち続けて来たことか!
僕がエーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲を初めてCDで聴いたのは今から30年前のことである。その濃厚なロマンティシズムにいっぺんに魅了された。パールマン、プレヴィン/ピッツバーグ響の演奏で、EMIの輸入盤。当時、国内盤は一切なかった。0である。初演者ヤッシャ・ハイフェッツの名盤ですら手に入らなかった。コルンゴルトは完全に忘れ去られた(日本人は端から知らない)存在だったのだ。
プレヴィンはその後、ドイツ・グラモフォンにギル・シャハムとアンネ=ゾフィ・ムターの独奏で2回この曲を再録音している。
ちなみにコルンゴルトの映画音楽「シー・ホーク」との高校時代の出会いについては下記事に書いた。
この30年で次第にコルンゴルトの再評価は進み、歌劇「死の都」も日本で初演された。
- コルンゴルト/オペラ「死の都」舞台版日本初演!
(2014年、びわ湖ホール)
天下のウイーン・フィルも小澤征爾(2004年)とゲルギエフ(2006年)の指揮で2回、ヴァイオリン協奏曲をレコーディングするに至った。
東京では神尾真由子や五嶋みどりがコンサートでこの曲を弾いた。しかし中々、関西で聴く機会はなかった。
大阪交響楽団がコルンゴルトを演奏するのは楽団創設以来これが初めてである。大阪フィルハーモニー交響楽団は未だ一度もない(来年やっと定期演奏会でヴァイオリン協奏曲が取り上げられる)。東京に比べて大阪は完全に立ち遅れている。
「雪だるま」はコルンゴルトが11歳の時に作曲したピアノ曲に師のツェムリンスキーがオーケストレーションを施した(少年にツェムリンスキーを紹介したのはマーラーである)。優雅でウィンナ・ワルツの残り香がする。ただオケがもたついたのは残念。芯がないヘナヘナの演奏だった。
ヴァイオリン協奏曲の方も、「もう少し夢見るように奏でられないものか」とオケに不満が残ったが、ソロは悪くなかった。なにより生で聴けたことが嬉しい。
ツェムリンスキーの「人魚姫」も大好きな交響詩なのだが、滅多に演奏される機会がないのがとても残念だ。マーラーまで綿々と続いてきた浪漫派の終焉をそこに聴くことが出来る。
寺岡さん、次は是非コルンゴルトの交響曲 嬰ヘ調と、ツェムリンスキーの抒情交響曲を大響定期で聴かせてください!
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コメント
来年協奏曲札幌交響楽団の定期演奏会で演奏されます。トリが惑星だから行くか行かないか迷います。ちなみに指揮は広上さん。
投稿: 介護職 | 2016年12月27日 (火) 23時03分
介護職さん、コメントありがとうございます。
ヴァイオリン独奏がダニエル・ホープですか。微妙ですね〜。神尾真由子や五嶋みどりなら即決なのですが。因みに来シーズン、大フィルが初挑戦する定期の独奏は竹澤恭子です。
投稿: 雅哉 | 2016年12月28日 (水) 10時22分