内田光子 with マーラー・チェンバー・オーケストラ
11月2日(水)ザ・シンフォニーホールへ。
内田光子(ピアノと指揮)、マーラー・チェンバー・オーケストラで、
- モーツァルト:ピアノ協奏曲 第19番 ヘ長調
- 武満徹:弦楽のためのレクイエム(指揮者なし)
- モーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調
- スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.9 (アンコール)
弦楽器の編成は1stVn-2ndVn-Va-Vc-Cbが8-7-5-4-2人。古典的対向配置でクラシカル・ティンパニと、(ピストン/バルブがない)ナチュラル・トランペットを使用。ノン・ヴィブラートではないが、古楽奏法を相当意識したアプローチだった。
内田の弾く長調のモーツァルトは暖かく、柔らかく、音に厚みがある。フットワークが軽く、しっとりした潤いがある。でも軽過ぎず、重くもならず、機動力がある。達観した自在な境地が感じられた。
少人数による武満は透き通った空気感があり、清々しい。
短調のモーツアルトは地を這うような響きで開始された。第1楽章は逃れ得ぬ宿命の音楽。引きずり込まれるような魔女的太母(グレート・マザー)がそこにいた。打って変わって長調に転じる第2楽章は絹の柔らかさ。聖母マリアがおわします天国の世界。僕はこれを聴くと否応なく映画「アマデウス」のラストシーン、サリエリが精神病院の患者たちに呼びかける言葉を想い出す。
Mediocrities everywhere... I absolve you all.
凡庸なる者たちよ、汝ら総ての罪を赦そう。
そして第3楽章のロンド。激情に走る最強音から繊細に囁く最弱音までニュアンス豊か。正にパーフェクトな演奏だった。
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