神尾真由子 ヴァイオリン・リサイタル
11月3日(木)兵庫県立芸術文化センターへ。
神尾真由子(ヴァイオリン)、ミロスラフ・クルティシェフ(ピアノ)で、
- ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第1番
- ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第3番
(休憩) - ショスタコーヴィチ:24の前奏曲より
No.10,15,16,24 - チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」より
レンスキーのアリア「青春は遠く過ぎ去り」 - チャイコフスキー:「なつかしい土地の思い出」より第3曲
- プロコフィエフ:歌劇「3つのオレンジへの恋」より行進曲
- ショスタコーヴィチ:映画「馬あぶ」よりロマンス
- ハチャトゥリアン:剣の舞
- ラフマニノフ:ヴォカリーズ
- バッジーニ:妖精の踊り
神尾とクルティシェフはチャイコフスキー国際コンクールで出会い、現在夫婦である。
プログラム前半はソナタ2曲、後半は小曲集というユニークな構成。
ベートーヴェンでピアノはサラッと流れる。神尾は感情のはけ口を見出だせず、持て余している印象。なんだか窮屈そう。モーツァルトもそうだけれど、彼女に古典派の音楽は似合わない。
ブラームスのソナタは哀しみに満ち、詠嘆の声を上げる。
ショスタコの前奏曲は狂った感じ、叫びであり、チャイコフスキーは野太い音でノスタルジーや甘美な歌を歌う。そこにはこの作曲家特有のメランコリーへの共感があった。
プロコフィエフは荒々しく、ハチャトゥリアンは激するバーバリズムが強烈な印象を残す。
一転してラフマニノフは玻璃のように繊細で、絹の肌触り。
「妖精の踊り」はすばしっこいいたずら者(トリックスター)が疾風のごとく駆け巡る。
後半のプログラムは変幻自在な神尾の芸に舌を巻いた。
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