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2016年11月30日 (水)

切断と結合の物語〜【考察】「君の名は。」

映画「君の名は。」については語り尽くした感があり、いくらなんでももう何も残っていないだろうと考えていた。ところが、新海誠監督がRADWIMPSの新譜「人間開花」(初回限定盤)に付属するDVDのために再編集した「スパークル (original ver.)」のMVを観て、新たな発見があった。なおMVには新規カットが幾つかあり、しかも(静止画ではなく)動いたので甚く感動した。作画監督を務めたのはキャラクターデザインの田中将賀。画質もBlu-ray並に綺麗だし、これは必見!

「スパークル (original ver.)」MVで新海監督は【彗星の分裂 → 三葉誕生時にへその緒を切断 → 髪を切る】というカットを繋いでいる(こちらの動画でも確認出来る)。僕は、はたと思い当たった。そうか、切断と結合は「君の名は。」の重要なモチーフだったのだと。彗星の分裂=切断であり、直後にその片割れは糸守町に衝突=結合している。これは1,200年周期で起こっており、スケールを拡大した織姫と彦星(七夕)の物語であるとも言えるだろう。

僕は上記事で、三葉と瀧の前前前世は結合(シャム)双生児のような両性具有の単一体だったのではないか?と仮説を立てた。そしてシャム双生児にも切断=分離というテーマが生じて来る。

三葉のおばぁちゃん(一葉)が語るところのムスビとは結合であり、映画のラストシーンが三葉と瀧の再会=男女の結合を意味していることは言うまでもない。

切断と結合は「死と再生」と言い換えることも出来る。僕は今までに4回「君の名は。」を観たが、どうして三葉があのタイミングで髪を切るのか、納得がいく解釈が出来なかった。中学生の瀧に会って自分を認識してもらえず、失恋したと感じたから?いやいや、動機として弱すぎる。しかし上京したことを切っ掛けに彼女は生まれ変わろうと決意したのだと考えれば頷ける。実際にその翌日、三葉は死と再生という経験をすることになるのだから。

本編中に繰り返されるドアが開くショットは、2つに区切られた空間の結合であり、逆にドアが閉まるのは切断を意味している。

イギリスBBCラジオで映画評論家のMark Kermodeは「君の名は。」をterrific(素晴らしい)、sparkling(きらめくような)、wonderfulと絶賛した→こちらに動画あり。

彼は本作において「男と女、都会と田舎、古代と現代、科学と魔法、記憶と忘却といった相反する事物が、かたわれ時(strange twilight world)に出会うのだ」と表現している。

どうしてかたわれ時なのだろう?僕は考えた。そうだ!twilightとは昼と夜(day and night)、光と闇(light and darkness)との接点なのだ。つまりここにも結合のテーマが現れているのである。

「君の名は。」は深い。底なしの奥行きを持つ、途方もない作品である。

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