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映画「この世界の片隅に」

評価:A

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映画館で予告編を観たときは絵が地味で、全く食指が動かなかったが、余りにも評判が良いので気が変わった。

本作を観て、二つの作品を即座に想い出した。まず1945年の神戸大空襲を背景に、市井の人々の生活をリアルに描いた高畑勲監督「火垂るの墓」(ネタバレになるので詳しく書けないが、プロットにも類似性がある)。そして広島に原爆が落とされた1945年8月6日午前8時15分=ゼロ時間に向けて物語が進行していくという意味で、井上光晴の小説「明日―1945年8日8日・長崎」(長崎に原爆が投下されるまでの1日を描く)。これを原作として1988年に黒木和雄監督が映画「TOMORROW 明日」を撮っているが(キネマ旬報ベストテン第2位、その年の1位は「となりのトトロ」)、僕はどちらかといえば長崎出身の市川森一がシナリオを書いたTV版(1988/08/09 日本テレビで放送)の方が優れていると想う。黒木監督作品は左翼臭がプンプンして嫌なんだ。閑話休題。映画の登場人物たちは知らないが、観客は8月6日に広島市で何が起こるか知っているので、そこにサスペンスが生まれるのである。

「この世界の片隅に」は非常に丁寧に作られた傑作である。特に焼夷弾が雨のように降ってくる場面は背筋が凍る想いがした。ただこの映画のファンが「今年の日本映画No. 1!」と絶賛していることに対しては強い違和感がある。いや、それはどう考えたって「君の名は。」の方が映画史上に残る作品でしょう。マイナーなものを支持する者たちの、メジャーに対する僻みとしか僕には聞こえない。

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