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2016年10月19日 (水)

デュメイ(バルトーク)×藤岡幸夫(シベリウス):関西フィル定期

10月14日ザ・シンフォニーホールへ。

独奏ヴァイオリン:オーギュスタン・デュメイ藤岡幸夫/関西フィルハーモニー管弦楽団で、

  • 吉松隆:夢色モービル II
  • バルトーク:ヴァイオリン協奏曲 第2番
  • シベリウス:交響曲 第2番

藤岡が英国のレーベル、シャンドスに録音した「夢色モービル II」はオーボエ独奏とハープ、弦楽アンサンブル用にアレンジされたものだったが、今回は独奏ヴァイオリン仕立て。関西フィルのコンマス、岩谷祐之が担当した。夢見心地の優しい音楽。「銀河鉄道の夜」とか、宮沢賢治の妹とし子(詩「永訣の朝」)のことを想起させた。なお吉松隆も2つ年下の妹をガンで亡くしている(その看病をしながら病室で作曲したのが「サイバーバード協奏曲」)。そして映画「君の名は。」の【美しくもがく】という言葉がふと脳裏に浮かんだ。

バルトークでデュメイが登場。激しく、太い音が心に刺さる。第2楽章は幽玄の響き。艶っぽかった。

フィンランド人の母親を持ち、世界で初めてシベリウスの交響曲全集をステレオ録音した指揮者・渡邉暁雄の薫陶を受けた藤岡幸夫はシベリウスやヴォーン=ウィリアムズを自家薬籠中の物としている。この二人の作曲家に関する限り、日本の指揮者で彼の右に出る者はいないだろう。

イタリアの風光明媚な港町ラパッロで作曲された交響曲第2番の第1楽章は動的。冒頭部は波が押しては返すよう。幼い娘の死を背景にしており、感情を剥き出しにした音楽が展開されてゆく。藤岡の指揮は切れ味抜群。暗い第2楽章には作曲家の苦悩が刻印され、傷だらけの姿が浮かび上がる。やがて弦楽群に現れる柔らかい光がさすような主題は【祈り】だ。スケルツォの第3楽章は疾風怒濤。オーボエが穏やかに歌うトリオで連想したのは水鳥の鳴き声。そして決然と進む第4楽章にあるのは高揚感!血が滾るように熱く、圧巻の演奏だった。

中学生の頃、僕が初めてこのシンフォニーのLPレコードを買ったのはCheskyレーベルから出ているバルビローリ/ロイヤル・フィルの演奏(1962年)だった。何しろ録音が極上で、多分刷り込みもあるのだろうが今でも最高の名演だと確信している(バルビローリ/ハレ管はオケの質が劣る)。しかしその後、第4番以降の交響曲の方が優れていると思うようになり、一方演奏会では第2番ばかり取り上げられ耳タコ状態で次第にこの曲が嫌になった。今回の演奏を聴いて、本当に久しぶりに大好きだった幼い日のことを想い出した。漸くバルビローリに匹敵する演奏にめぐり逢えたのだ(因みにカラヤン/ベルリン・フィルは第4−7番の演奏が素晴らしいが、第2番はサイテーである)。

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