映画「ハドソン川の奇跡」とパンドラの箱
評価:A
2009年1月15日にニューヨークで実際に起こった飛行機事故を映画化。原題"Sully"は機長の名前である。全篇がIMAXカメラで撮影されたということで、IMAXシアター(次世代レーザー)で鑑賞した。公式サイトはこちら。
「硫黄島からの手紙」「チェンジリング」「グラン・トリノ」「インビクタス/負けざる者たち」「ヒア アフター」「ジャージー・ボーイズ」「アメリカン・スナイパー」……。近年のクリント・イーストウッド監督作品にハズレは少ない。
本作も見事なもので、1時間36分というコンパクトな上映時間も好ましい。公聴会を軸に回想や白昼夢が螺旋を描く構成は、黒澤明監督「羅生門」を彷彿とさせる。
トム・ハンクスが見る「飛行機がビルに突っ込む」という悪夢は、明らかに9・11同時多発テロを意識している。同じニューヨークの出来事だしね。
9・11は宗教の違いによる不寛容・無理解と、人の悪意(それはテロリストだけではなく、ジョージ・W・ブッシュ率いるアメリカ共和党政権も含む)が引き起こした悲劇だが、「ハドソン川の奇跡」を観ると、人種や宗教を超えた人々の善意を信じてもいいかも知れないという気持ちになれる。
パンドラの箱を開けると、世界に禍々しい災厄がもたらされるが、最後に「希望」が残った。その「希望」については映画「チェインジリング」の最後にアンジェリーナ・ジョリーも語っている。そして本作は「希望」についての物語である。クリント・イーストウッド万歳!
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