花總まり・城田優/東宝「エリザベート」
9月21日(水)梅田芸術劇場へ。ウィーン・ミュージカル「エリザベート」を観劇。
僕が初めてこのミュージカルを観たのが1998年の宝塚宙組公演。エリザベートは花總まり(以後、花ちゃんと呼ぶ)だった。これが宝塚歌劇初体験(2回観賞)。当時は岡山市に住んでいたが現在は宝塚市の住人となった。そして2012年の宝塚OGガラ・コンサート(初演の雪組メンバー)を経て、今回が4回目の花ちゃんエリザである。
東宝「エリザベート」は東京初演@帝国劇場の時に一路真輝×山口祐一郎、一路×内野聖陽の組み合わせから観ている。武田真治やマテ・カマラス(ウィーン版来日公演)のトートも体験済み。
主なキャストは以下の通り。
花ちゃんは「エリザベート」の演技が高く評価され、今年の菊田一夫演劇大賞を史上最年少で受賞した。その記事はこちら(彼女のコメントあり)。観てびっくりしたのは98年とは全く違ったエリザベート像を創り上げていたことである。宝塚版第1幕での花ちゃんシシィはやんちゃで、無邪気で、生命力に溢れていた。あれから18年。今回のシシィはしっとりして、哀しみと諦念を内に秘めていた。明らかに深化していたのだ。特に圧巻だったのが第2幕「夜のボート」。この曲がこれほどまで感動的に響いたことはいまだかつてなかった。彼女の歌声がひたひたと心に沁みて鳥肌が立った。「花ちゃん凄い、貴女はもう人間国宝級の女優さんだ」と想った。なお「私だけに」でボロボロ涙を流すのは宝塚宙組時代もそうだった。そうそう、今回「私だけに」を歌っている時にシシイの目の前に墓石がゆっくりと立ち上がってくるのだが、【彼女の自我の確立=死への道行きまっしぐら】なのだからまことに見事な演出であった。
城田優はトート役で2010年に文化庁芸術祭「演劇部門」新人賞を受賞。また同役で今年、読売演劇大賞の優秀賞も受賞している。歌は上手いし、「セクシーなロックシンガー」という印象。首を傾げる仕草も良い。少なくとも男性が演じたトートでは彼がベスト(宝塚版は明日海りおにとどめを刺す)。
成河(ソンハ)は歴代のルキーニの中で最も声が高く、ゲイっぽい役作りだった。好みは別れるだろうが、嫌いじゃない。彼はトートさまLOVE(一筋)だしね。
ルドルフ役の古川雄大は歌に関しては城田に劣るが、何しろ小顔長身の王子様なので、特にトートとのデュエット「闇が広がる」は見栄えがする。◎
今回は演出・美術装置・衣装・振付が一新された。帝国劇場初演時のプロダクションは斬新で、特に大島早紀子が振付を担当したトート・ダンサーズの踊りが前衛的で僕は好きだった(一部で「狂っている」とも評された)。何だか小池修一郎による新演出や振付(小㞍健太/桜木涼介)は大人しく、オーソドックスになった感じ。かなり宝塚版に近づいた印象を受けた。見やすいけれど、ちょっと物足りないかな。特にヴィンディッシュ嬢が拘束服で登場しないのが残念過ぎる!!
でも兎に角、出演者が素晴らしいので、絶対ご覧になることをお勧めする。公演DVDも出ます→こちら!
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