朝夏まなと 主演/宝塚宙組「エリザベート」
8月12日(金)宝塚大劇場へ。宙組の「エリザベート」を観劇。
宝塚友の会一次、二次先行、ぴあ先行、e+先行、一般発売全てに玉砕しチケットが全く手に入らず、結局当日券に並んだ。
気合を入れて午前3時半に劇場前に到着すると、4番目だった。5時半に15人、6時に30人、6時半に60人となり、8時15分には150人を超過して係の人から「これ以上並ばれても立ち見券が手に入らない可能性があります」とアナウンスがあった。
2年前の感想は下記。
宝塚版、東宝版、ウィーン版の来日公演(マヤ・ハクフォート、マテ・カマラス)と合わせて、僕が生で観るのはこれでエリザベート11人目、トート12人目となる。
ルドルフ(青年期)は役代わりで、当日は蒼羽りく。イマイチ。
朝夏まなとはあまり好きな男役ではないのだが(かわいい系の顔立ちで格好いい系ではない)、トートは意外と良かった。なんだか包容力があった。
エリザベート役の実咲凜音は健闘した。 同役で僕が一番好きな花總まり(花ちゃん)をS級とすると、次のAランクが白羽ゆりと白城あやか、マヤ・ハクフォートなのだが、彼女はここに入れてもいいい。
フランツ・ヨーゼフ役の真風涼帆は凛々しく、豊かな低音に魅了された。稔幸、北翔海莉と並ぶ歴代ベスト。
ルキーニの愛月ひかるについて。容姿は◯なのだが、男声(低音)を無理して出している感が否めない。発声が自然じゃない。
またマダム・ヴォルフ役の伶美うららが艶っぽくって良かった。
あとルドルフ(少年時代)の星風まどかがめっちゃ別嬪さんだと想ったら、なんと新人公演でエリザベートに大抜擢されたんだね。2014年4月入団だからまだ研3。正に期待の新人!
本作をユング心理学の手法で読み解くと、トート(死神)はエリザベートの無意識に棲む住人(アニムス)と言えるだろう。そしてオーストリア皇太后ゾフィーも無意識に潜むグレートマザー(太母)であり、魔女や山姥のごとく彼女を束縛し、飲み込もうとする。シシーはそれに対し必死に抵抗し、追い縋る魔の手を切断し、強い自我を確立する(”私だけに”)。しかし同時に夫フランツや息子ルドルフとの絆も切れて、孤独地獄に陥る。これが「エリザベート」の物語である。
ところで東宝「エリザベート」は2016年12月にDVDが発売されることが発表された。詳細はこちら。2バージョン用意されているのだが、驚いたことにどちらもエリザは花ちゃん!ダブルキャストの蘭乃はなは無視。よっぽど評判が悪いのかな。彼女では商品が売れないと判断されたんだろうね。花ちゃんは同役で今年の菊田一夫演劇大賞を受賞したのだから、当然といえば当然なのだが……。
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コメント
それにしても凄まじい人気ですね~~。午前3時に劇場前に到着・・・と言う事は始発電車も動いてない頃じゃありませんか?僕は前回の「エリザベート」の時、正面玄関で鞄をごそごそしてたら、チケット余ってませんか、って声掛けられました。
Der Tod がElisabeth にとってのアニムスなら、Rudorof にとってはアニマでしょうね。
投稿: 最後のダンス | 2016年8月16日 (火) 17時55分
最後のダンスさん、コメントありがとうございます。
僕は大劇場に歩いていける距離に住んでいるので、こういう芸当が出来るのです。東京など遠方から来られる方は、宝塚ホテルや宝塚ワシントンホテルに前日宿泊し、早朝から当日券の列に並ばれるケースもあるようです。
投稿: 雅哉 | 2016年8月16日 (火) 19時16分
最後のダンスさんが仰る、ルドルフにとってトートはアニマ(ゲーテが言うところの「永遠にして女性なるもの」)というのは成る程なと想いました。死神には性がなく、男であり女でもあるという両性具有的存在です。つまり「うたかたの恋」における男爵令嬢マリー・ヴェッツェラの役割を果たしていると言えるでしょう。
投稿: 雅哉 | 2016年8月17日 (水) 08時09分