トランボ ハリウッドに最も嫌われた男
評価:B+
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赤狩りのブラックリストに載り「ハリウッド・テン」として投獄され、職を奪われながらも匿名で「ローマの休日」「黒い牡牛」と2回アカデミー賞を受賞した不屈の脚本家ダルトン・トランボ。その一方、仲間を売ったことで後々まで非難されたエリア・カザン監督(「欲望という名の電車」「波止場」「エデンの東」「草原の輝き」)については何度かこのブログで取り上げた。
僕はトランボのことを格好いいと思うし、尊敬している。しかし「裏切り者」カザンのことも決して責めることは出来ない。トランボが戦えたのは匿名が許される仕事だからだ。監督はそうはいかないし、この映画に登場する俳優エドワード・G・ロビンソンもしかり。彼等は皆それぞれのやり方で必死に生きた。どちらが正義でどちらが悪とは誰も言えない。「(赤狩りに)英雄も敗者もいなかった。いたのは被害者だけだ」というトランボの言葉は正鵠を射ている。むしろ悪がいたとしたらそれはジョセフ・マッカーシー上院議員であり、積極的に共和党のスパイとして動いた映画俳優組合(SAG)代表ロナルド・レーガン(後の大統領)だろう。
本作でジェイ・ローチ監督は手堅い仕事をした。大変手応えのある映画に仕上がっている。ただし殆ど既に知っている内容だったので、評価がAにまで達さなかった。赤狩りについて詳しく知りたい方には積極的に観ることをお勧めしたい。アメリカ暗黒史のひとつである。
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