ウィーン世紀末の作曲家フックスとマーラー/大響定期
7月22日(金)ザ・シンフォニーホールへ。
寺岡清高/大阪交響楽団、谷口 伸(バリトン)で、
- ブラームス:悲劇的序曲
- フックス:交響曲 第1番
- マーラー:「5つの初期の歌」(ベリオ編)
交響曲第5番 第4楽章 ”アダージェット”
リュッケルトの詩による5つの歌曲
ウィーン楽友協会音楽院(和声学)教授としてマーラーを教えたロベルト・フックス(1847-1927)については下の記事で述べた。
フックスはウィーンの教会オルガニストを務めたこともあり、ブルックナーとマーラーを結ぶ作曲家といえるだろう。
40歳手前で完成した交響曲第1番の第1楽章は優しく穏やか。メンデルスゾーンのスケルツォを彷彿とさせる第2楽章はすばしっこく森の妖精が飛び回っているよう。緩徐楽章の第3楽章は調性が不安定でゆらぎが感じられ、マーラーに近い。第4楽章には覇気があった。
谷口は張りのある美声。「5つの初期の歌」は”生は暗く、死もまた暗い”という「大地の歌」の歌詞を思い起こさせ、またそこに登場する子どもたちは無邪気(innocent)だった。
「リュッケルトの詩による5つの歌曲」の”私はほのかな香りを吸った”は微睡み、夢うつつの世界観で、交響曲第5番アダージェットの気分に繋がっている。そして”私は世に捨てられた”を聴きながらワーグナー「ワルキューレ」のラスト、ヴォータンの別れを想い出した。
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