映画「ブルックリン」
アイルランドの女優シアーシャ・ローナンを初めてスクリーンで観たのは「つぐない」(2007)だった。当時13歳。これで米・英のアカデミー助演女優賞にノミネートされた。その後「ラブリーボーン」(2009)、「ビザンチウム」(2012)、「グランド・ブタペスト・ホテル」(2014)等で彼女の成長を見守ってきた。早いもので今や22歳である。
映画「ブルックリン」でシアーシャはアカデミー主演女優賞にノミネート。ほか作品賞、脚色賞候補になった。公式サイトはこちら。
ニューヨーク市ブルックリン区はマンハッタン島から橋で渡った所に位置する。ユダヤ人が多い地区だが、アイルランドやイタリアからの移民も多数住んでいるという。バーブラ・ストライザンドやメル・ブルックスらがブルックリン出身である。
2001年8月(同時多発テロの1ヶ月前)、僕は1週間ニューヨークに滞在した。「オペラ座の怪人」やメル・ブルックス(製作・脚本・作詞・作曲)の「プロデューサーズ」などミュージカルを観劇するのが目的だった。その時、ブルックリンにも訪れた。世界一美味しいと言われるステーキハウス「ピーター・ルーガー」で食事をするためである。タイムズスクエアにある滞在先のホテルからタクシーに乗ろうとしたのだが、行き先を告げると4台に乗車拒否された。「そんなに治安が悪いのか!?」とびっくりしたものだ。ちなみに「ピーター・ルーガー」の肉は評判通り絶品だった。
評価:A
実は上のポスターはラストシーンのスチール写真である。正に「陽だまりの彼女」という感じ。映画を最後まで観てこの場面が来ると、本当に感動する。
アイルランドから移民としてアメリカのブルックリンに単身やって来たヒロイン。彼女にはイタリア系の恋人が出来る。ジョン・フォード監督「静かなる男」(アイルランドで撮影)の話題が会話に登場し、デートで「雨に唄えば」を観たりするので、1952年の出来事だと分る。同じ寮に住む女の子たちから「どうやったら服にソースを飛び散らさずにスパゲッティを食べることが出来るか」を指南される場面は爆笑ものである。
そうこうしている内に観客には自然と「彼女には是非幸せになって貰いたい!」という(祈りにも似た)気持ちが沸き起こってくるのである。これもシアーシャの人徳だろう。彼女の演技を観るためだけにでも映画館に足を運ぶ価値がある。
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