国立音楽大学 選出「音大生なら聴いておきたい100曲」
国立音楽大学の音楽学系講義を担当する教師たちが作成した「音大生なら聴いておきたい100曲」リストはこちら。非常に興味深い選曲だ。
フェリックス・メンデルスゾーンの姉ファニーの作品が入っているのにはびっくりした。他にヒルデガルト・フォン・ビンゲン、セシル・シャミナードら、女性作曲家を無理やり入れたという印象。だって一人もリストにいなかったら「女性差別だ!」と非難されるでしょう。
突っ込みどころは色々ある。
- バロック時代のフランスを代表するフランソワ・クープランが入っていないけれど、重要じゃないの?フランスの作曲家ならシャミナードの方が優先されるべき??
- ベートーヴェンの弦楽四重奏曲なら第14番、ヴァイオリン・ソナタなら第9番「クロイツェル」、ピアノ・ソナタなら後期の30-32番が最高傑作では?
- ワーグナーが2曲も入っているのにどうしてヴェルディは1曲?「道化師」「カヴァレリア・ルスティカーナ」などヴェリズモ・オペラは無視ですか。
- エルガーなら「威風堂々」ではなく、断然チェロ協奏曲でしょう!
- マーラーは何故、交響曲第1番「巨人」なの?僕だったら円熟期の第5番か第9番を選ぶけど。
- 「ウエストサイド物語」はブロードウェイ・ミュージカルなのにクラシック音楽ですか?ミュージカルが可ならスティーヴン・ソンドハイムが作曲した楽曲(「リトル・ナイト・ミュージック」「スウィーニー・トッド」「イントゥ・ザ・ウッズ」等)もあって当然。それからコープランドやバーバーが入っていないけれど、アメリカの作曲家の中でレナード・バーンスタインの方が重要??
- ショスタコーヴィチでは、プラウダ批判をかわすためにソビエト共産党に迎合して作曲されたプロパガンダ音楽・交響曲第5番をどうして選ぶ?あまりにも通俗的(小中学校の音楽の授業じゃあるまいし)。Dmitri SCHostakowitchのイニシャルからとったDS(Es)CHの音形(レ・ミ♭・ド・シ)が重要なモチーフ(モノグラム)として用いられている交響曲第10番、ヴァイオリン協奏曲第1番、弦楽四重奏曲第8番辺りが相応しいのでは?
- ヴィオラ曲が皆無だから、せめてヒンデミットのヴィオラ・ソナタを入れて欲しかった。
- それからムソルグスキー「展覧会の絵」はピアノ原曲ですか?それともラヴェル編曲の管弦楽版?
「国立音楽大学のレベルは所詮、この程度か」というのが率直な感想。特にショスタコの5番を選んだ先生の名前を是非知りたい。そのセンスの無さを酒の肴にしたいから。
このリストについて、「私ならこの曲は外せない」等、皆さんのご意見をコメント欄で是非お聞かせください。大いに語り合いましょう。
| 固定リンク | 0
「クラシックの悦楽」カテゴリの記事
- キリル・ペトレンコ/ベルリン・フィル in 姫路(2023.11.22)
- 原田慶太楼(指揮)/関西フィル:ファジル・サイ「ハーレムの千一夜」と吉松隆の交響曲第3番(2023.07.12)
- 藤岡幸夫(指揮)ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第5番 再び(2023.07.07)
- 山田和樹(指揮)ガラ・コンサート「神戸から未来へ」@神戸文化ホール〜何と演奏中に携帯電話が鳴るハプニング!(2023.06.16)
- ヒラリー・ハーンが弾くベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ@兵庫芸文(2023.06.23)
コメント
はじめまして、クープラン聴くな フランソワでなくルイを…なんて言ってましたぜ…誰が?猿…さるオルガンフエチの方が。終わり…
投稿: 怪護員 | 2016年7月 2日 (土) 08時43分
怪護員さん、コメントありがとうございます。嬉しいです。
ルイ・クープランも悪くないですね。僕は甥フランソワの方が断然好きですけれど。ラヴェル「クープランの墓」もフランソワへのオマージュですし。またフランソワはクラヴサン音楽の大家ですが、ヴァイオリン曲ならジャン=マリー・ルクレールが素敵です。
それから「ある人はこう言っていた」とかはどうでもいいです。【貴方】の意見をお聞かせください。
投稿: 雅哉 | 2016年7月 2日 (土) 09時48分
はじめまして、とても面白い?リストですね。ブリテンやウォルトン等イギリス系、ベッリーニやドニゼッティ等ベルカント、サラサーテやクライスラーやハチャトリアンにマスネにコルンゴルト等々、たくさん漏れちゃってますね。また普通に考えたらメシアンならトゥランガリラ、Rシュトラウスならばらの騎士、シベリウスなら交響曲、が妥当なのでは?個人的にはモーツァルトならジュピター、21番、ドンジョバンニに入れ替えたいですね。ちなみにショスタコについてはおっしゃる通り5番は無いですね。
投稿: OYAJI | 2016年7月 4日 (月) 19時21分
OYAJIさん、コメントありがとうございます。
笑えるリストでしょう?「トーシローかっ!?」とツッコミを入れたくなります。とにかくバランス感覚が欠けている。モーツァルト4曲、シューマン2曲、ワーグナー2曲入れてベッリーニやドニゼッティがない。あり得ない選択です。シベリウスに関しては僕なら交響曲第7番を選びますが、作曲家の吉松隆さんなら間違いなく交響曲第6番を選ぶでしょう。指揮者の藤岡幸夫さんだったら交響曲第5番。いずれにせよ第4番以降の交響曲を入選させて欲しいところです。
帝王カラヤンは一度もショスタコの5番を振らなかった。その価値が全く無いからです。カラヤンは10番だけを認めて、生涯に2度レコーディングした。音大生にはその意味を深く考えて欲しいですね。
投稿: 雅哉 | 2016年7月 4日 (月) 21時40分
一人一曲縛りにしたほうがフェアな良いリストになるかもしれませんね。ベートーベンから一曲選ぶなんて至難の業ですが選者の個性が出て面白いと思います。私ならやっぱり第九ですかね(合唱以外の1から3楽章もちゃんと聴いておけよという意味も含めて)。
投稿: OYAJI | 2016年7月 5日 (火) 12時42分
ベートーヴェンを1曲に絞るのは至難の業ですが、敢えてするとしたら僕は弦楽四重奏曲 第14番ですね。それからメシアンはトゥーランガリラよりは国立と同じ「世の終わりのための四重奏曲」を選びます。オーケストラ曲と比べ聴き手が少ない室内楽を応援したいですし、「夜の終わり」はドイツ軍の捕虜収容所で初演されたという歴史的背景がポイント高いです。
投稿: 雅哉 | 2016年7月 5日 (火) 19時30分
フランソワはんは教区ミサとか修道院ミサとかオルガン聞くチャンスや音源あるけどルイはないからわかりません
たまたま古いレコード芸術にオルガン狂の方の特集が
自分は詳しくないので引用してみたのさ。
投稿: 怪護員 | 2016年7月16日 (土) 22時06分
怪護員さん、人が言っていたことの受け売りをコメントしても仕方ないでしょ。自分の言葉で語りなよ。
投稿: 雅哉 | 2016年7月16日 (土) 22時43分
プロとオタクは違うからねえ
投稿: | 2023年9月 5日 (火) 19時35分
でどっちが偉いの?
演奏のプロが必ずしも鑑賞のプロではないからね。音楽は本来、聴衆のためのものでしょう。
投稿: 雅哉 | 2023年9月12日 (火) 08時26分