テーマはウィーン!〜五嶋みどり ヴァイオリン・リサイタル
6月22日兵庫県立芸術文化センターへ。五嶋みどり(ヴァイオリン)、オズガー・アイディン(ピアノ)を聴く。
曲目は、
- リスト:「ウィーンの夜会」よりヴァルス・カプリース第6番
- シェーンベルク:ピアノ伴奏を伴ったヴァイオリンのための幻想曲
- ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番「雨の歌」
- モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第32番 K.454
- シューベルト:ピアノとヴァイオリンのための幻想曲
- クライスラー:愛の悲しみ & 愛の喜び (アンコール)
ウィーンと関係の深い楽曲や作曲家で構成されたプログラム。モーツァルトのソナタもウィーンで作曲された。またもうひとつテーマがあり、他の楽曲から引用のある作品が3作品並んでいる。リストの曲はシューベルトの「高雅なワルツ」第9,10番、「感傷的なワルツ」第13番の素材を取り入れており、ブラームスのソナタは自身の歌曲「雨の歌」「余韻」の旋律が用いられている。そしてシューベルトの幻想曲は自身の歌曲「挨拶を送ろう(僕の挨拶を)」の旋律に基づく変奏曲が中核となる。
プレトークでは五嶋が主宰するミュージック・シェアリング、ICEPの紹介があり、また彼女が幼少期を過ごした大阪の地下街にすごく懐かしさを感じることや、阪急電車や京阪電車の「匂い」が特別だというようなことを語った(五嶋は大阪府枚方市で生まれた)。
リストからはウィーンの甘い香りが漂って来た。優雅で、どこか鄙びた雰囲気。
ブラームスは控えめな表情を見せ朴訥。落ち葉がカサコソと囁き、人生の秋を感じさせる。
モーツァルトはピリオド・アプローチ(時代奏法)を意識した解釈だが、かと言ってノン・ヴィブラートでもなく、モダン奏法との融合を図ったハイブリッド仕様。潔い美しさ。一切の虚飾を排し、禅寺の石庭(例えば龍安寺の方丈庭園)を想い起こさせる。フレーズ一つ一つが豊かに息付き、生き生きしている。
シューベルトからは鳥の囀り、羽ばたきの音が聴こえてきた。
クライスラーの「愛の悲しみ」は憂いと陰りがあり、「愛の喜び」は粋で、杯を交わすホイリゲ(オーストリアのワイン居酒屋)の賑わいが幻視された。
日本人音楽家でありながら、よくぞこの「域」にまで達したものだと驚き、感心することしきりであった。
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