神尾真由子 × 井上道義/大フィル「大ブルックナー展」
6月25日(土)兵庫県立芸術文化センターへ。
神尾真由子(ヴァイオリン)、井上道義(ミッキー)/大阪フィルハーモニー交響楽団で、
- メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」
- メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
- シューベルト(エルンスト編):魔王(ソリスト・アンコール)
- ブルックナー:交響曲 第1番
メインのプログラムがブルックナーだけに男性率7割、多し。
「フィンガルの洞窟」は非常にゆっくり始まり、次第にテンポが速められた。波が岩に砕ける風景が目の前に広がる。
前半は第一・第二ヴァイオリンが向かい合う対向配置。ヴァイオリン・コンチェルトは小編成の8型。
神尾のヴァイオリンは出だしの音が掠れていてギョッとしたが(ほぼ不発)、その後尻上がりに調子が良くなった。高音は甘美で低音は野太い。強い芯が通っている。曲自体の話だが、第1楽章のカデンツァは相当J.S.バッハの無伴奏ソナタ&パルティータを意識しているなと今回感じた(世間から忘れ去られていたバッハのマタイ受難曲を100年ぶりに蘇演したのは20歳のメンデルスゾーンである)。夢のような第2楽章を神尾は水面下でメラメラと炎が燃えているように弾いた。第3楽章は音の跳躍が気持ちよかった。
アンコール「シューベルトの《魔王》による大奇想曲」は超絶技巧の編曲。神尾の演奏は荒々しく激しい。子供の絶叫も聞こえてきてヒリヒリする。ある意味「やけくそ」だった(褒めてます)。今日の自分のコンディションに内心苛々していたのかも。
ブルックナーの第1番は曲がアレなんだけど、まぁ将来の自己実現に向けて色々模索していた時期の作品なのだろう。彼の音楽の代名詞とも言える、霧のような冒頭部の弦のトレモロとか、アルペンホルンの雄大な響きとかは未だない。
オケは対向ではなく通常配置に変わった。ミッキーの解釈は歯切れよく明快。ただそれが、ブルックナーの音楽にしっくりくるかどうかは別の話。音を地面に叩きつけるような第3楽章のスケルツォが、このコンビのニンに一番合っていたように想った。因みにニン(仁)とは元々歌舞伎用語で、しばしば落語家にも用いられる。役者の持つ芸風や雰囲気、性格の事で、これが役柄にあった時には「ニンに合う」と言う。
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