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2016年5月11日 (水)

ズートピア

評価:A-

Zootopia

ジョン・ラセター(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)復帰後のディズニーは破竹の勢いで、快進撃は止まるところを知らない。その秘訣は企画段階から多人数で繰り返される会議による合議制=ピクサー方式の導入に負うところが大きい。本作も【ズートピア=多民族国家アメリカ合衆国のメタファー】を舞台に、練りに練り上げた物語が展開される。監督が3人、Story(原案)が7人という寄ってたかっての人海戦術である。その根っこは1960年代まであった南部の人種差別政策からキング牧師による公民権運動、そして現在のアメリカが抱える課題、理想郷(ユートピア)作りの困難さまで踏まえている。ミステリー(探偵小説)の要素もあり、エンターテイメント性もバッチリ。パーフェクトである。

しかしながら村上春樹が言うように、人は誰しも「100%の女の子」に恋するとは限らない。完璧な女性と一緒にいると時として息苦しくなることもある。あばたもえくぼ。だからラセター製作総指揮の(無個性な)作品群は商品として文句の付けようがないくらい素晴らしいのだけれど、時には宮﨑駿や押井守、庵野秀明、新海誠が監督した、歪で不完全な(作家性の強い)日本のアニメでお口直しをしたくもなるのである。要するに一文の隙もない「ズートピア」は可愛げがないのだ。

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