ちはやふる ー下の句ー
スクリーンの少女に恋をするという原体験は恐らく「アイコ16歳」(1983)の富田靖子だったと記憶している。当時僕は高校2年生だった。また同時期に地元岡山の自主上映会で観た「アンネの日記」のミリー・パーキンスにもときめいた。
その後、大林宣彦監督「ふたり」(1991)、「はるか、ノスタルジィ」(93)の石田ひかりや、「ロボコン」(2003)の長澤まさみにも同様の感情を抱いた。
「ロボコン」から13年。本当に久しぶりにその想いが蘇った。僕の青春を取り戻してくれた広瀬すずに心から感謝したい。
評価:A
本作最大の魅力は、しなやかに弾ける広瀬すずの肢体であることは間違いない。またずぶ濡れになって髪の毛から滴り落ちる雨粒、彼女が流す涙、撒き散らす汗など【liquid(液体)】が印象的。
競技かるたの場面はスピード感と躍動感に溢れ、まるで時代劇の殺陣を見ているよう(黒澤明監督「椿三十郎」の決闘シーンとか)。静と動のダイナミズム。小泉徳宏監督が醸し出す魔法の瞬間(とき)である。
広瀬すずが「かるた」を弾こうとカメラに向かって飛びついてくるショットで映画は締め括られるのだが、原田知世主演・大林宣彦監督「時をかける少女」伝説のカーテンコールを想起させた。このカーテンコールはももクロ主演、本広克行監督の映画「幕があがる」でも模倣されている。
それからクイーンを演じた松岡茉優が放つ【陰】のオーラが強烈!目眩がした(千早の【陽】と好対照)。僕は彼女が出演したTV「あまちゃん」、映画「愛のむきだし」「桐島、部活やめるってよ」「悪の教典」「はじまりのみち」等を観てきたが、こんな凄い女優だと今まで気が付かなかった。己の不明を恥じたい。
それにしても「かるた」って、試合は和服だし純日本風なのにA級・B級のランク分けとか、"Queen"って英語を使ったりして、何か変なの!
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