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かなしさは疾走する〜デュメイ&関西フィル「スプリング・スペシャルコンサート」

5月11日ザ・フェニックスホールへ。オーギュスタン・デュメイ/関西フィルハーモニー管弦楽団で、

  • モーツァルト:弦楽五重奏曲 第4番 ト短調 K.516
  • バーバー:弦楽のためのアダージョ
  • チャイコフスキー:弦楽セレナーデ

前半は室内楽、後半は弦楽合奏という構成。クインテットはデュメイに加え、コンサートマスターや首席奏者達による演奏。

【ヴァイオリン】オーギュスタン・デュメイ、岩谷祐之
【ヴィオラ】中島悦子、山本知資
【チェロ】日野俊介

デュメイのヴァイオリンは鹿の跳躍のようにしなやか。艶と張りがある。しっかりヴィブラートを掛け、ピリオド・アプローチ(時代奏法)とは対極に位置する演奏なのだが、時折ノン・ヴィブラートの弱音を折り込み、ハッとするほど美しい。

ト短調はモーツァルトにとって極めて重要な調性であり、交響曲第25,40番もト短調で書かれている。小林秀雄は「モオツァルト・無常という事」の中でクインテット第1楽章について次のように書いている。

モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。涙の裡(うち)に玩弄(がんろう)するには美しすぎる。空の青さや海の匂いにように、万葉の歌人がその使用法をよく知っていた「かなし」という言葉のようにかなしい。こんなアレグロを書いた音楽家はモオツァルトの後にも先にもない。

これが現在「疾走する哀しみ」としてしばしば引用されることとなった。

バーバーは祈りの音楽であるが、デュメイの解釈には鋭さがあり、怜悧な知性が煌めく。

チャイコフスキーの第1楽章は激しさと滾るパッション。また強弱の違いが鮮明でニュアンス豊か。第2楽章のワルツでは活きのいい魚がピチピチ跳ねるよう。第3楽章エレジーには歌心があり、第4楽章はエネルギッシュで生命力に満ち溢れ、僕はボクシングの試合を連想した。勅使河原宏監督のドキュメンタリー映画「ホゼー・トレス」の為に武満徹が書いた”トレーニングと休息の音楽”に近いものがそこに感じられた。

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