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2016年5月 3日 (火)

なにわ《オーケストラル》ウィンズ 2016

5月1日(日)ザ・シンフォニーホールへ。

年1回、日本のプロ・オーケストラの管楽器奏者が一堂に会する吹奏楽の祭典、なにわ《オーケストラル》ウィンズ(NOW)演奏会を聴いた。曲目と指揮者(太字)を列記する。ー丸谷明夫(大阪府立淀川工科高等学校吹奏楽部顧問)、ー中川重則(岡山学芸館高等学校)、ー畠田貴夫(東海大学付属高輪台高等学校)、ー金井信之(NOW代表、大阪フィル首席クラリネット奏者)。

  • 高昌帥:今、吹き渡る風 (委嘱作品・初演) なし
  • ジェイガー:ジュビラーテ 丸
  • ネリベル:2つの交響的断章 丸
  • 山本雅一:スペインの市場で 
    (2016年度吹奏楽コンクール 課題曲II)
  • 鹿島康奨:マーチ「クローバー グラウンド」 丸
    (課題曲IV)
  • 西村友:ある英雄の記憶〜「虹の国と氷の国」より 畠
    (課題曲 III)
  • スパーク:劇場の音楽 畠
  • バーンズ:交響的序曲 
  • リード:序曲「インペラトリクス」 丸
  • 矢藤学:マーチ・スカイブルー・ドリーム 
     (課題曲 I)
  • 島田尚美:焔(ほむら) 
    (課題曲 V)
  • スミス:交響曲第1番 畠
  • グレイアム:交響曲「モンタージュ」 

アンコールは、

  • 真島俊夫:五月の風 
  • 河辺公一:高度な技術への指標 丸
  • スパーク:ザ・バンドワゴン なし

高昌帥(こうちゃんす)の新作はトランペット4人のバンダ(金管別働隊)がファンファーレを奏でる格好いい曲。

ジェイガー「ジュビラーテ」は1978年の吹奏楽コンクール課題曲として委嘱された作品。4曲ある課題曲のうち、全国大会でこの曲を選んだ団体は全体の4分の3を占めたという。当時の出場人数制限は45人。あっきーこと、NHK交響楽団クラリネット奏者・加藤明久氏は全国大会でこれを吹き、金賞を受賞。自由曲もジェイガーだったそう。オーボエの浦丈彦氏(読売日本交響楽団)やパーカッションの安藤芳広氏(東京都交響楽団)もコンクールで「ジュビラーテ」を演奏したと。曲はホルスト「木星」を換骨奪胎したもの。流石にあからさまかな?

ネリベルの「2つの交響的断章」はパンチが効いた曲で、不協和音が決して不快じゃない。霧が立ち込める森で繰り広げられる神話の世界のように聴こえた。

スパーク「劇場の音楽」I.序曲は滑稽。II.幕間の音楽は可愛らしく、III.終曲は祝祭的高揚感があった。僕は以前、スパーク本人が指揮した自作自演のコンサートを聴いたが、味も素っ気もない演奏でびっくりした。断然今回のほうが良い。

バーンズは爽やかに一陣の風が吹き抜ける。中川先生の指揮はスマートでスタイリッシュ。

リード「インペラトリクス」(いにしえの時代の王妃のこと)は初めて聴いた。荘厳で気高い。

スミスの交響曲は金管が刻むリズムが小気味いい。

グレイアム「モンタージュ」はマグマが噴出するよう。複雑で演奏効果が高い曲。大いに気に入った。

今年度の吹奏楽コンクール【課題曲 I 】のタイトル「マーチ・スカイブルー・ドリーム」は丸ちゃん曰く、「何を言いたいのか判らんのですけれど(会場笑い)」。スキップするように軽やかに開始され、堅固なマーチへ。その対比が鮮明で、間違いなく淀工はこの曲を選んでくると確信した。実験は少子化を反映し、11人の小編成で演奏(丸ちゃん曰く「さわかやイレブン」)。こちらはこちらで簡素な魅力があった。

【課題曲 II 】「スペインの市場で」はハバネラが取り入れられ、陽光が燦々と降り注ぐ曲。なんだかビゼー:歌劇「カルメン」とかシャブリエ:狂詩曲「スペイン」みたいにフランス人が見たスペインという感じ。

【課題曲 III 】「ある英雄の記憶」はまるで「ファイナルファンタジー」のようなゲーム音楽。うねるロマンがあった。作曲をした西村友氏は指揮者としても活躍している。プロフィールを見ると劇団四季「ライオンキング」1998年初演から指揮しているとのことなので、僕は初日を観ているから彼の指揮を聴いた筈。実験はバラバラに配置換えした「フルーツバスケット」。

【課題曲 IV 】マーチ「クローバー グラウンド」はメリハリが乏しく、金賞が穫れない曲。爽やかではあるが、なんのひねりもなく凡庸。駄作。

【課題曲 V 】「焔」は例年通りのゲンダイオンガク。

今年の課題曲が駄目なのはバラエティに乏しいこと。他にもロック調/ポップス系/ジャズ風味の曲が欲しかった。選んだ人たちは相当頭が硬いね。もっと柔軟な思考が欲しい。来年度は選考委員の一新を!

アンコールは楽しい曲が揃った。特に先日亡くなった真島俊夫の「五月の風」(1997年度全日本吹奏楽コンクール課題曲)にはメルヘンが感じられた。

プログラムは地味で【知られざる名曲】路線だったけれど、新しい発見が多々あり、充実した3時間20分(休憩込み)だった。今年もライヴCD買おっと!

追記:下記もお読みください。いま吹奏楽をしている総ての中高校生、そして嘗てそうだった大人たちに是非観て貰いたい青春映画です。

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