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2016年4月20日 (水)

秋元康プロデュース・欅坂46「サイレントマジョリティー」を讃えて(あるいは、アメリカの闇)

先日、欅坂46のデビュー・シングル「サイレントマジョリティー」をフルコーラスで聴いてガツンと来た!これは紛れもなく「君の名は希望」に並ぶ、作詞家・秋元康の最高傑作だ。歌詞はこちら。因みに、発売前の仮タイトルは「僕らの革命」だったという。

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先行く人が振り返り
列を乱すなと
ルールを説くけど
その目は死んでいる

「その目は死んでいる」という歌詞がドキッとする。これぞ秋元の真骨頂、意外性がある。

夢を見ることは時には孤独にもなるよ
誰もいない道を進むんだ
この世界は群れていても始まらない
YESでいいのか
サイレントマジョリティー

歌っている内容そのものは秋元がHKT48のために書いた「キレイゴトでもいいじゃないか?」の延長上にある。それがさらに洗練された形だ。

そもそも「サイレント・マジョリティ(silent majority)」とはベトナム戦争に対する反戦運動が高まる中、1969年にニクソン大統領が「グレート・サイレント・マジョリティ」と言う言葉を演説で使ったのが事の始まりである。「過激な反戦運動や声高な発言をしない大多数のアメリカ国民は、ベトナム戦争に決して反対していない」という、いわば【異議なきは同意とみなす】詭弁である。共和党のこうした体質は9・11のどさくさに紛れて、何の関係もないイラクに対して侵略戦争を仕掛けたジョージ・W・ブッシュまで脈々と受け継がれてきている。この危険性・危うさを端的に表しているのが現在予備選挙で快進撃を続けるドナルド・トランプ氏だろう。アメリカの闇(病)は今に始まったことではない。

どこかの国の大統領が
言っていた(曲解して)
声をあげない者たちは
賛成していると…

選べることが大事なんだ 
人に任せるな
行動をしなければ
NOと伝わらない

アイドル・ソングにこのような深いメッセージを忍ばせる匠(たくみ)のしたたかさ。

また世界に活躍の場を広げ、アメリカの週刊誌ニューズウィークが「世界が尊敬する日本人100」に選んだTAKAHIRO(上野隆博)の振付けが素晴らしい。2番の歌詞(どこかの国の大統領……)で踊りは軍隊行進の様相を呈し、続いてマリオネット(操り人形)の動作に移行する。ヒトラーやムッソリーニに通じる全体主義・ファシズムの恐怖。心が震えた。アイドルは可愛いくなくてはいけないという従来の既成概念をかなぐり捨て、徹頭徹尾力強く、格好いい。

前田敦子卒業以降、AKB48に提供する楽曲はどれもこれも腑抜けだった秋元康の本気を久々に見た!これは彼に霊感を与えるミューズの出現が大きいだろう。勿論、欅坂46のセンターを務める平手友梨奈(14)のことである。ミュージカル「オペラ座の怪人」の作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーと、舞台でクリスティーヌを演じたサラ・ブライトマンの関係を髣髴とさせる(ウェバーはサラのことを"My Angel of Music"と呼んでいる)。平手は既に山口百恵の再来とも言われており、50年にひとりの逸材と言える。因みに百恵の歌手デビューは1973年、彼女も14歳だった。

欅坂46は4月22日(金)の「ミュージックステーション」に出演するが、これは史上最速である。姉分の乃木坂46が「ミュージックステーション」に初出演したのは「気づいたら片思い」。なんと8作目のシングルである。ちなみにAKB48のMステ初出演は2006年6月9日の「スカートひらり」で、インディーズ2作目のシングルだった。

僕は今まで秋元がどうしてアイドルグループを次から次へと新設していくのか理解出来なかった(国内ではAKB48 → SKE48 → NMB48 → 乃木坂46 → HKT48 → NGT48 → 欅坂46)。しかし漸く判った。彼は飽きっぽい。立ち止まると吹いていた風が凪ぎ、創作意欲も失ってしまう。だから常に新しいことを仕掛け、自分を鼓舞するしかない。そして長年待ち続けたものに遂にめぐり逢った。山口百恵(的な存在)を自らプロデュースするという、甘美な欲望はこうして叶ったのである。秋元康はいま、燃えている。これから先、欅坂46(というか平手友梨奈)がどのように坂を駆け上って行くのか、大いに注目したい。

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