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2016年3月 1日 (火)

オスカー・ナイト2016〜宴のあとに

第88回アカデミー賞授賞式が終わった。僕の予想が的中したのは作品賞・監督賞・主演女優賞・主演男優賞・助演女優賞・脚本賞・脚色賞・撮影賞・衣装デザイン賞・美術賞・メイクアップ賞・編集賞・音響編集賞・録音賞・長編ドキュメンタリー賞・長編アニメーション賞・外国語映画賞の計17部門。過去5年間18部門以上的中という記録を更新してきただけに、トホホな結果であった。ただ作品賞と監督賞が一致しない年に両者を当てるというのは至難の業なので(例えば作品賞が「アルゴ」、監督賞が「ライフ・オブ・パイ」のアン・リーが受賞した第85回)それが達成できただけでも良かったかな、と自分を慰めているところである。

「スポットライト」の作品賞受賞が意外という意見が多いが、誰が何に投票するという票読みをすれば、自然と「スポットライト」という結論になった。予想記事にも書いたが、「クラッシュ」が作品賞を受賞した第78回と同じパターンになっただけのこと。

授賞式についてだが、今年は「多様性の欠如」という明確なテーマがあり、なかなか面白かった。演技賞候補の20人は全員白人で、司会のクリス・ロックと映画芸術科学アカデミー会長のシェリル・ブーン・アイザックスがアフリカ系アメリカ人というよじれた構造が見ていて奇妙で可笑しい。毎年ある会長のスピーチは退屈で聞き流すのだが、今年は違った。含蓄のある話だった。クリス・ロックも端から黒人ネタで飛ばして、ブラック・ジョークが効いていた。(当然内面に渦巻いているであろう)怒りを前面に出さず、フットワークが軽やかだった。とぼけた味もあり、名司会であったと言えるだろう。

主演男優賞を受賞したレオナルド・ディカプリオのスピーチは地球温暖化とかエコの話に触れていて、「らしいな」と想った。レオは地球環境のためにハイブリッド・カー「プリウス」を愛用していて、アカデミー賞授賞式にも自ら運転して乗り込んだことがあるんだよね。

歌曲賞のパフォーマンスでは大学でのレイプ事件を題材にしたドキュメンタリー映画「ザ・ハンティング・グラウンド」の"Til It Happens to You"をレディ・ガガが熱唱し、最後にレイプの被害にあった女性たちがステージに登場すると会場総立ちとなったので「これは受賞間違いなし!」と確信したのだが、蓋を開けてみると「007 スペクター」の主題歌だったので拍子抜けした。

あと視覚効果賞が大作「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」や「マッドマックス 怒りのデスロード」を押し退けて、イギリス映画"Ex Machina"が受賞したのは心底驚いた。これを機会に日本でも公開して貰えないかな?

短編アニメーション賞を受賞したのは"Bear Story"。チリの映画がアカデミー賞を受賞するのは(外国語映画賞を含め)これが初めてなんだって!

授賞式の視聴率は過去8年間で最低だったそうで、作品賞候補作が「マッドマックス 怒りのデスロード」以外、地味だわな。クリス・ロックが映画館の前でインタビューした映像が流れ、アフリカ系アメリカ人たちが口々に「『レヴェナント:蘇えりし者』?観てないな」「『ブリッジ・オブ・スパイ』?何それ?知らない。そんな映画本当にあるの?」という反応に笑った(しかし全員、黒人映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」は観ていたというオチ)。黒人候補の不在で黒人たちが観なかったというのもあるだろう。会長の肝いりでアカデミー会員の構成比を見直すとのことなので(現在会員の94%は白人、うち男性が77%。平均年齢62歳)、今後の展開に期待したい。因みに実際の米国社会は40%を白人以外が占めている。

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