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2016年3月15日 (火)

ピクサー「アーロと少年」と「ライオンキング」

評価:B-

Gooddinosaur

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僕はピクサーの長編第1作目「トイ・ストーリー」(1995)から映画館で観ている。今まで製作された16本の長編は全て目を通しているが、「アーロと少年」の評価はかなり下位だ。一番詰まらなかったワースト・ワンが「メリンダと恐ろしの森」、タイtieで「モンスターズ・ユニバーシティ」、その次が本作かな。つまり歴代14位ということ。

まず気になったのがディズニー「ライオンキング」との類似だ。息子を助けるために父親が目の前で死に、自責の念に駆られる主人公。その後放浪の旅が始まり、夜に父の亡霊が出てきて……というプロットが全く同じ。またラプトル3人組の性格が「ライオンキング」に登場するハイエナそっくりというのも痛い。創意工夫に欠け、新鮮味が全くない。しかも、そもそも手塚治虫「ジャングル大帝」のパクリである「ライオンキング」を、さらに模倣してどうする!?実に情けない。それから、ホタルが舞う場面は確かに幻想的で美しいが、明らかに高畑勲「火垂るの墓」を意識してるよね?観ていないとは言わせない。

恐竜たちのデザインがデフォルメされすぎていて、リアルじゃないのも不満。スピルバーグの「ジェラシック・パーク」(1993)と比較して、CGがそれほど進化したように感じられない。

隕石の衝突がなく、恐竜たちが絶滅しなかった世界。本作は明らかに西部劇へのオマージュになっている。アパトサウルス(アーロ)は農民であり、Tレックスがカウボーイ、少年が犬。プテロダクティルス(翼竜)がさしずめ強盗を繰り返すならず者(無頼漢)といったところか。音楽も西部劇調でなんだか懐かしく、この意図は悪くなかった。自然の脅威には太刀打ち出来ない、それを不可避のものとして受け止める度量が必要だというテーマもいい。

恐竜やゴジラ、ウルトラマンの怪獣が大好きな4歳の息子を連れて鑑賞。彼の感想は「あんまり面白くなかった」

むしろ併映の短編「ボクのスーパーチーム(サンジャイのスーパーチーム)」の方が遥かに優れていた(アカデミー賞・短編アニメーション部門にノミネート)。インド人のサンジャイ・パテル監督の半自伝的作品でヒンドゥー教徒の父親との対立と和解を描く。ヒンドゥーの神々をスーパーヒーローに見立てる発想が素晴らしい。ピクサーの短編はしょーもない話が多いので、これは傑出した内容と断言出来る。

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