2016年アカデミー賞大予想!
では第88回アカデミー賞の受賞予想である。相当自信がある(鉄板)部門には◎を付けた。過去に僕がレビューを書いた作品はタイトルをクリックすればそちらに飛ぶ。
- 作品賞:スポットライト 世紀のスクープ
- 監督賞:アレハンドロ・G・イニャリトゥ「レヴェナント:蘇えりし者」◎
- 主演女優賞:ブリー・ラーソン「ルーム」◎
- 主演男優賞:レオナルド・ディカプリオ「レヴェナント:蘇えりし者」◎
- 助演女優賞:アリシア・ヴィキャンデル「リリーのすべて」◎
- 助演男優賞:シルベスター・スタローン「クリード チャンプを継ぐ男」
- 脚本賞(オリジナル):スポットライト 世紀のスクープ ◎
- 脚色賞(原作あり):マネー・ショート 華麗なる大逆転 ◎
- 視覚効果賞:スター・ウォーズ/フォースの覚醒
- 美術賞:マッドマックス 怒りのデス・ロード ◎
- 衣装デザイン賞:マッドマックス 怒りのデス・ロード
- 撮影賞:エマニュエル・ルベツキ「レヴェナント:蘇えりし者」 ◎
- 長編ドキュメンタリー賞:Amy エイミー ◎
- 短編ドキュメンタリー:Body Team 12
- 編集賞:マッドマックス 怒りのデス・ロード ◎
- 外国語映画賞:サウルの息子 ◎
- 音響編集賞(Sound Editing):マッドマックス 怒りのデス・ロード ◎
- 録音賞(Sound Mixing):マッドマックス 怒りのデス・ロード ◎
- メイクアップ賞:マッドマックス 怒りのデス・ロード ◎
- 作曲賞:ジョン・ウィリアムズ「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」
- 歌曲賞:Til It Happens to You 「The Hunting Ground」◎
- 長編アニメーション賞:インサイド・ヘッド ◎
- 短編アニメーション賞:Sanjay's Super Team
(ピクサー・アニメーション・スタジオ) - 短編実写映画賞:Ave Maria
今年はアカデミー作品賞の行方が混迷を極めている。可能性があるのは3作品。「スポットライト 世紀のスクープ」「レヴェナント:蘇りし者」「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のどれが受賞してもおかしくない。可能性はそれぞれが33.3%ずつ。予想サイトも意見が完全に割れている。僕は状況を分析し、監督やプロデューサーはあの作品、役者たちはこの作品に投票するだろうと票の流れを熟考したうえで総合的に「スポットライト」と判断した。「クラッシュ」が作品賞を受賞した第78回と同じ現象が起こるだろうと踏んだのだ。
監督賞は2年連続でアレハンドロ・G・イニャリトゥだろう。僅かにジョージ・ミラー(マッドマックス 怒りのデス・ロード)の芽も残っている。恐るべきは撮影賞エマニエル・ルベツキの3年連続受賞!間違いない。これは衣装デザイン賞でイーディス・ヘッドが1950年-1952年に達成して以来、64年ぶりの快挙である。
主演男優賞はレオで500%確実。授賞式で彼のスピーチも愉しみだが、テレビカメラは発表の瞬間、必ずレオの親友ケイト・ウィンスレットの表情を狙っている筈。彼女のはしゃぎっぷりに注目だ。ケイトはBBCのインタビューで授賞式出席をボイコットするかどうか尋ねられ、こう答えている。「今年はレオの年になるんじゃないかってことを強く感じているのよ。彼は世界一親しい私の友だちだし、その彼を応援しに行かないなんて考えられないの」
助演男優賞でどうしてスタローンと予想するか説明しよう。今年のアカデミー賞授賞式は不穏な空気に包まれている。演技部門で有色人種が1人もノミネートされていないからだ。人種差別と非難の声が上がり、ボイコット運動も巻き起こった。先日発表された全米映画俳優組合賞(Screen Actors Guild Awards)では助演男優賞を黒人のイドリス・エルバ(ビースト・オブ・ノーネーション)が受賞、完全な番狂わせであった(当然彼はアカデミー賞にノミネートされていない)。つまり役者たちは今、「俺達は人種差別主義者ではない!」と火消しに躍起になっていることを示している。ではアカデミー賞授賞式でそれを示すためにはどうすればいいか?それはシルベスター・スタローンに投票するしかないのである。スタローンは自分の大切な「ロッキー」シリーズの最新作「クリード」を若い黒人の監督(ライアン・クーグラー)と黒人の役者(マイケル・B・ジョーダン)に託した。今回の騒動が勃発した時、彼は監督にこう尋ねた。「ライアン、どうしよう? 俺がここにいるのは正に君のおかげだと思うからさ。君が俺に(授賞式に)行って欲しいなら行くし、行って欲しくないなら行かないよ」「そうしたら彼は『僕は行って欲しいよ』って言ったんだ。彼はそういう男なんだよ。俺が出席することで、映画を代表してもらいたいのさ」いいやつ(Nice Guy)だ。つまりスタローンは全米の映画俳優を代表して黒人の映画人を褒め称え、友情を示す重要な責務を負うことになったのである。彼の受賞スピーチに注目せよ!
今年の僕の大博打は作曲賞である。映画誌や有名サイトのほぼ全てが、「ヘイトフル・エイト」のエンニオ・モリコーネを予想している。イタリアの巨匠で今まで(名誉賞以外に)受賞経験がなく、恐らくこれが最後のチャンス。可能性が極めて高いことは僕も重々承知している。しかし何故ジョン・ウィリアムズを選んだか?決まっているじゃないか、愛だよ、愛。それしかない。例えば今年「リリーのすべて」で主演男優賞にノミネートされているエディ・レッドメイン夫人(もの凄い美人!)に記者が「今年は誰が受賞すると予想されますか?」と尋ねたとしよう。夫人は果たして「そりゃ勿論、ディカプリオに決まっているじゃない!」と答えるだろうか?絶対にない、「エディ」だ。それと同じことである。僕は小学生の時に映画館で「スター・ウォーズ(エピソード4)」を観て、それ以来ジョンのファンだ。裏切る訳にはいかない。それに「ヘイトフル・エイト」はサントラをダウンロードして全曲聴いたけれど、はっきり言って決して良いと思えない。モリコーネの傑作群「ニュー・シネマ・パラダイス」とか「続・夕陽のガンマン」「夕陽のギャングたち」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」「ウエスタン(Once Upon a Time in the West)」「ミッション」などと比較すると明らかに劣る。むしろこの程度の出来で、モリコーネにオスカーを贈るのは失礼なのではないか?というのが僕の意見である。
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