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2016年2月24日 (水)

カティア・ブニアティシヴィリ/ピアノ・リサイタル 2016

2月22日(月)いずみホールへ。カティア・ブニアティシヴィリを聴く。

Khathiaheader

2016

彼女はジョージア(旧称グルジア)出身の28歳。ジョージアは黒海の東側(南コーカサス)に位置し、トルコやアゼルバイジャンと国境を接している。黒海の対岸にあるのがルーマニアとブルガリア。以前はソビエト連邦の構成国だったが、現在は共和制国家である。しかしジョージアと聞くとどうしてもアメリカの州を連想してしまうので、グルジアの方がしっくり来るな。因みに関西フィルのコンサートマスター、ギオルギ・バブアゼもジョージア出身である。

僕がカティアに魅せられたきっかけは、NHK BSプレミアムで放送された「森の中のコンサート」だった。美人のお姉さんとの連弾もあった。

Forest

今回の曲目は、

  • ムソルグスキー:展覧会の絵
  • リスト:三つの演奏会用練習曲より「軽やかさ」
  • リスト:超絶技巧練習曲 第5番「鬼火」
  • リスト:パガニーニによる大練習曲 第3番「ラ・カンパネッラ」
  • リスト:半音階的大ギャロップ
  • リスト/ホロヴィッツ編曲:ハンガリー狂詩曲 第2番
  • ストラヴィンスキー:ペトルーシュカよりの3楽章

カティアは真っ赤なドレスで登場。膝のところでキュッと細くなり、そこから足元にかけて末広がりとなるデザインなので、その姿はまさしく人魚であった。いや〜これを書いたらいけない、負けだとは重々承知しているのだが、ファースト・インプレッションは「胸デカっ!」……彼女を見にきたのではない、音楽を聴きに来たのだと何度も自分に言い聞かせるのだが、どうしても眼はそこに釘付けになる。男の悲しい性(さが)である。ボン・キュッ・ボンのセクシー・ダイナマイトを見ながら「誰かに似ているな?」と考えていて、途中で気がついた。「マレーナ」「007 スペクター」のモニカ・ベルッチ(モニカは「イタリアの宝石」と呼ばれている)である。

Poster

会場の客は8割が男。終演後のサイン会は100人以上の長い列が出来たが、意外なことに女性もちらほらいた。因みに僕は参戦せず。己に勝った!(←何が?)

ここからはまじめに音楽の話をしよう。

「展覧会の絵」《プロムナード》はゆったり、静かに開始される。《こびと》はグロテスク。《古城》は鄙びた雰囲気を醸し出し、《テュイルリーの庭》はすばしっこい。《ビドロ(牛舎)》は重々しく引きずるようで、《カタコンベ》はペダルを多用し残響を活かして地下室のエコー(木霊)を描く。《ババ・ヤーガの小屋》は激しく凶暴で、《キエフの大門》ではスケールの大きな音楽が展開された。

リストの練習曲は羽のように軽やかで、絹のように滑らか。「鬼火」の超絶技巧には目が眩む。「ラ・カンパネッラ」は繊細な弱音が魅力的。「半音階的ギャロップ」には加速する興奮と熱狂があった。舌を巻くカティアのテクニックはジョルジュ・シフラやマルク=アンドレ(マルカンドレ)・アムランに匹敵するなと想った。「ハンガリー狂詩曲」はリズムと歌わせ方に強烈な民族色を感じた。彼女には「21世紀の爆演ピアニスト」という称号こそ相応しい!「ジョルジュ・シフラの再来」でもいいかも。

「ペトルーシュカ」は鮮やかな色彩感と勢いがあった。荒々しく、野性味のあるストラヴィンスキー。デモーニッシュで型破り、自由奔放な演奏だった。呆気にとられた。聴衆が熱狂したことは言うまでもない。なお、「森の中のコンサート」でも彼女は「ペトルーシュカ」を弾いていたので、この楽曲は十八番なのだろう。

一度是非、カティアとモルドヴァの暴れ馬、パトリツィア・コパチンスカヤ(ヴァイオリン)のデュオ・リサイタルを聴いてみたい!スリリングで手に汗握る、破天荒なパフォーマンスが展開されることであろう。

大阪のお客さんは拍手を止めず、しつこくせがむのでアンコールは何と4曲の出血大サービス。

Img_0394

「月の光」は息が長く、静謐な演奏。爆演だけじゃなく、しっとり精緻な演奏も出来るところが彼女の強みだろう。

最後は指を1本立てて「もう一曲だけよ」と可愛い仕草。弾き終わると「これでもうお終い♡」とチャーミングにピアノの蓋を閉め(客席から笑い)、お開きとなった。

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コメント

私も言って来ました。この3年位で ルプー、メジューエワ、ルイサダ、今回も 良かったコンサートに入ると思います。私は、展覧会の絵と月の光の対称的な曲でバリバリ弾く人だけではないんだ と わかり 嬉しい気持ちになりましたよ。

投稿: 名無し | 2016年2月24日 (水) 21時46分

名無しさん、コメントありがとうございます。

仰るとおりですね。ただ「月の光」に関しては萩原麻未の方が一枚上手かな?と感じました。まぁあちらはフランス音楽のスペシャリストなので、こんなことを言うのは酷なのですが。少なくとも「ペトルーシュカ」に関してはカティアが現役最強ではないでしょうか?

投稿: 雅哉 | 2016年2月24日 (水) 22時29分

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