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2016年1月15日 (金)

クリムゾン・ピーク

評価:B+

パンズ・ラビリンス」「パシフィック・リム」のギレルモ・デル・トロ監督最新作。ゴシック・ホラーである。映画公式サイトはこちら

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ホラーはB級映画と相場が決まっている。しかし本作は極上の仕上がりである。デル・トロの映画だからこんな内容(←失礼!)でも、ミア・ワシコウスカ(「アリス・イン・ワンダーランド」)やジェシカ・チェステイン(「ゼロ・ダーク・サーティ」でアカデミー主演女優賞ノミネート)ら超一流の俳優が出演しているのだから大したものだ。監督の系譜で言えばダーク・ファンタージーの傑作「バンズ・ラビリンス」に最も近い(あれをもっとチープに?した感じ)。

デル・トロはメキシコ出身で、同郷の親しい仲間アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは「バードマン」で、アルフォンソ・キュアロンは「ゼロ・グラビティ」で既にアカデミー監督賞を受賞したわけだが(三人は共同でチャチャチャ・フィルムズを立ち上げている)、「我関せず」と我が道を往くスタイルを一貫して押し通すデル・トロの姿は清々しい。

兎に角、Look(見た目)が美しい!アカデミー賞もせめて美術賞と衣装デザイン賞はノミネートしてあげて欲しかった。ひどい偏見である。血がドバッと飛び散ったり結構残酷な場面もあるが、全般的に格調が高いから決して悪趣味にはならない。これは監督の人徳であろう。

本作はユニバーサル映画だが、ユニバーサルといえばホラーの殿堂である。何と言ってもベラ・ルゴシが主演した「魔神ドラキュラ」とボリス・カーロフ主演の「フランケンシュタイン」が有名。どちらも1931年に公開された。その伝統の上に立ちながら、「クリムゾン・ピーク」が強く意識しているのはヴィンセント・プライス主演ロジャー・コーマン監督による一連のエドガー・アラン・ポー・シリーズである。特に鮮やかな色彩設計や古い館の佇まいは「アッシャー家の惨劇」(1960)の影響を強く受けている。地下室とか出てくると萌えるね。あとジェシカ・チェステインの役どころはアルフレッド・ヒッチコック監督の名作「レベッカ」に登場する家政婦長ダンヴァース夫人を彷彿とさせる。「レベッカ」もある意味、ゴシック・ホラーだしね。

どこか懐かしく、実に心地よい2時間であった。特に館の天井に穴が開いていて、お屋敷内に落ち葉や雪が舞い落ちる情景には痺れたね。あり得ない。でも、なんて耽美なんだ!!

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