ピアソラのバンドネオン協奏曲〜大阪交響楽団「名曲コンサート」
1月11日(祝)ザ・シンフォニーホールへ。大井剛史/大阪交響楽団の名曲コンサートを聴く。ゲストはピアソラ・コンクールにおいて史上最年少(18歳)で準優勝となったバンドネオン奏者・三浦一馬。
今回のプログラムは、
- マルケス:ダンソン 第2番
- ピアソラ:バンドネオン協奏曲
- ピアソラ:リベルタンゴ(アンコール)
《休憩》 - J.シュトラウスII:喜歌劇「ジプシー男爵」序曲
- J.シュトラウスII:ポルカ「クラプフェンの森で」
- E.シュトラウス:カルメン・カドリール
- ワルトトイフェル:スケーターズ・ワルツ
- ヨハン&ヨーゼフ・シュトラウス:ピチカート・ポルカ
- J.シュトラウスII:ポルカ「ハンガリー万歳」
- J.シュトラウスII:ワルツ「美しく青きドナウ」
- J.シュトラウスII:ラデツキー行進曲(アンコール)
メキシコの作曲家マルケスの「ダンソン」はオーケストラのみ。ピアノ・クラリネット・クラベス(拍子木)で開始され、変拍子が心地よい。ヴァイオリンがウクレレみたいな持ち方でピチカート奏法するのもなんだか愉しい。ラテンの熱風を感じた。
三浦一馬のバンドネオンは、ピアソラ自身の演奏と比べると大胆さとか野性味が欠けるのだが、逆に彼の持ち味は繊細さなのだと想う。これは奏者の資質の問題であり、どちらがより優れているという話ではない。それぞれに味がある。コンチェルトの第1楽章は情熱と色気。パリの花の薫りがした(ピアソラはパリに留学し、ナディア・ブーランジェに師事した)。第2楽章は雨に濡れた夜の舗道のイメージ。第3楽章の魅力は疾走感。僕はフランス映画「男と女」のレースの場面を想い出した。
前半は大変満足したが、後半は「ウィンナ・ワルツってやっぱり地元のオケ(ウィーン・フィル等)で聴かないと詰まらない曲だなー」と想った。三拍子は三等分ではなく、「ウィーン訛り」でなくちゃ!つまり極端に書くと「ズン・チャ・チャ」ではなく「ズ・チャッ・チャ」という感じ(一拍目が短く、二拍目が長め)。
「スケートをする人々」は僕が小学生の頃から大好きな曲で、懐かしかった。これにはカラヤン/フィルハーモニア管弦楽団の名盤(1953年録音)があり、なんと出だしのホルン・ソロをデニス・ブレインが吹いているという豪華版(ナクソス・ミュージック・ライブラリー NMLで聴ける)。カラヤンはオケを心持ち「ウイーン訛り」で弾かせているのが面白い(彼はオーストリアのザルツブルク生まれ)。ところが!1960年代にベルリン・フィルと録音した「美しく青きドナウ」はリズムを三等分で刻んでいるんだよね。誇り高き天下のベルリン・フィルにはさすがの帝王カラヤンもウィーン流儀を持ち込めなかったのか?興味深い問題である。
あとオペラの名旋律が矢継ぎ早に登場する「カルメン・カドリール」を聴きながら、「フックト・オン・クラシックス」のことを想い出した。1981年に全英アルバム・チャート1位に輝き、その後世界中で大ヒットとなったアルバムだけど、若い人は知らないよね?ディスコ・ビートに乗せてクラシックの名曲がメドレーで次々と登場する趣向なんだ。そういえば僕が高校生の時、これを吹奏楽部で演奏した記憶がある。
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