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2015年11月24日 (火)

リトルプリンス 星の王子さまと私

評価:A-

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アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの名作を初めてアニメーション化したフランス映画。プロデューサーふたりはフランス人だが、監督はドリーム・ワークスの「カンフー・パンダ」でアカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされたマーク・オズボーン。音楽は「ライオンキング」でアカデミー賞を受賞した大御所ハンス・ジマー。

物語をそのまま映画にするのではなく、「入れ子構造」にした手法がお見事!つまり劇の中でさらに別の劇が進行する「劇中劇」のことね。「Wの悲劇」とか「赤い靴」「ブラック・スワン」などが代表例。この作劇術により、原作の味わいが些かも損なわれることなく、鮮やかに現代に蘇った。

少女と老人の出会い。現実の物語はCGアニメーションで描かれる。一方、老人が語る「星の王子さま」は最初、原作者の描いた絵そのままで登場する。やがてそれが厚紙を組み合わせた立体構造物となり、チェコの人形アニメを髣髴とさせるストップモーション・アニメーションへと移行してゆく。イマジネーションの飛翔。予定調和な終わり方に些か引っかかったが、それは些事に過ぎない。

ただ日本語吹き替え版の主題歌を松任谷由実が担当しており、これが不愉快だった。ユーミンは現在61歳。老いたガラガラ声は聴くに耐えない。音域も狭く、嘗ての美しい高音域は望むべくもない。英語版は声優陣をジェフ・ブリッジス、ベニチオ・デル・トロ、マリオン・コティヤールらが担当しているという豪華さなので、こちらも観てみたい。

本作が4歳の息子の初映画館体験となった。観終わったあと、「面白かった!」と言ってくれたので、ホッと胸をなでおろした。いつか彼が「大切なものは、目に見えない」「地球の人たちはバラを5000本も咲かせられるのに、自分が探しているものを見つけられないね。たった1本のバラや、 たった1杯の水のなかにあるのに」という、星の王子さまが語った言葉の本当の意味を知る日が来ることを願っている。

Little

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