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ダニエル・ハーディングの幻想交響曲/PAC定期

11月1日(日)兵庫県立芸術文化センターへ。

ダニエル・ハーディング/兵庫芸術文化センター管弦楽団で、

  • ドビュッシー(ラインスドルフ編):「ペレアスとメリザンド」組曲
  • ベルリオーズ:幻想交響曲

ハーディングは2016年9月よりパリ管弦楽団の音楽監督に就任することが決まっている。その名刺代わりか、今回はフランス物のプログラムとなった。

ドビュッシーもベルリオーズも第1、第2ヴァイオリンが指揮台を挟んで向かい合う古典的対向配置。因みに僕が今まで生で聴いた幻想交響曲の演奏では大植/大フィルが対向配置、ロト/読響が通常(モダン)配置だった。

ドビュッシーのオペラから採られた組曲は妖しい雰囲気が漂う。ハーディングの解釈は明晰で見通しがよく、ニュアンス豊か。優しく繊細で絹の手触りがした。後半部になると森の闇(くら)さ、不気味さが支配的となる。

幻想交響曲でハーディングは積極的にテンポを動かす。第1楽章序奏は浮遊感が際立った。この世のものではない感触。主部に入ると小気味良いリズムの刻みが耳をくすぐり、快刀乱麻の演奏が展開される。舞踏会を描く第2楽章は優美で、しかしあちこちでグロテスクな顔がチラチラ覗く。第3楽章「野の風景」は牧歌的な箇所と激しい感情をむき出しにするパートのコントラストが鮮明。前半ではコールアングレ奏でる羊飼いの笛に対して遠く(舞台裏)からオーボエが呼応するが、後半で答えるのは遠雷のみ。ひとりぼっち。不穏である。主人公は静かに狂っていく。第4楽章のハーディングはゆったりとした歩み。考えてみたら「断頭台への行進」なのだから、これでいいのだろう。そして第5楽章、「ワルプルギスの夜」がやってくる。この世界観についてはベルリオーズが愛読した「ファウスト」を知っておく必要がある。またディズニーの「ファンタジア」や「魔法少女まどか☆マギカ」のヴィジュアル・イメージも参考になるだろう。

ハーディングは鋭い切り込みで魔女たちの饗宴、イカれたどんちゃん騒ぎを描き切った。決して主観に陥ることなく、冷静なメス捌きでベルリオーズを腑分けしたと言えるだろう。

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