CHESS THE MUSICAL 日本初演
10月19日(月)、シアター・ドラマシティへ。CHESS THE MUSICAL 日本初演・大阪公演初日を観劇。
ABBAのメンバーだったベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルヴァースが作曲、原案・作詞は「ジーザス・クライスト=スーパースター」「エビータ」「ライオンキング」のティム・ライス。訳詞・演出は元宝塚歌劇団の荻田浩一(愛称オギー)、音楽監督:島健。出演は安蘭けい、石井一孝、中川晃教(愛称アッキー)、田代万里生、AKANE LIVほか。
さてこのミュージカル、僕は過去2回行われたコンサート形式の上演を観ている。
作品の成立に至る背景については2012年のレビューを参考にされたし。キャストについても触れた。
コンサート形式ではなく、今回初めて舞台作品として鑑賞したわけだが、漸くCHESSの真価が判ったような気がした。特に第1幕を締めくくる「アンセム」は桁外れの名曲だと感動で心が震えた(今まで何度も聴いたことがあるのに!)。石井一孝の朗々とした歌唱がひたひたと胸に染み渡る。石井がクラシカルな歌唱なのに対して中川はノリノリのロック調。ソウルフルで熱い。両者の違いがまたこの作品の聴きどころ、魅力になっている。
舞台装置はチェス盤の模様を模して白と黒の市松模様(チェック)。僕はスティーブ・ジョブズの「洗練を極めれば簡素(シンプル)になる」という言葉を想い出した。宝塚時代のオギーの代表作「パッサージュ―硝子の空の記憶―」を髣髴とさせる上手い演出だった。
CHESSは米ソ冷戦時代のチェスによる代理戦争(ゲーム)を描いているわけだが、テーマが些か古臭くなったかと思いきや、あにはからんや全くそんなことはなく、現代に通じるものを内包していた。国家と国家の駆け引き・対立に翻弄され、盤上でいいように操られ、捨て駒にされる人々の悲劇。増え続ける難民の例を挙げるまでもなく、いつの時代にも起こり得る普遍性がそこにはあった。
シアター・ドラマシティの上階にある梅田芸術劇場では英国版「TOP HAT」が上演中。初日ということもあってかTOP HATのキャストが何人か観に来ていた。日本語は判らなくても、物語を知っているだろうから支障はないんだろうね。
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