エマニュエル・パユ & クリスティアン・リヴェ「アラウンド・ザ・ワールド」
9月16日(水)兵庫県立文化センター小ホールへ。
エマニュエル・パユ(フルート)とクリスティアン・リヴェ(ギター)のデュオ・コンサート。
- アストル・ピアソラ:タンゴの歴史
- モーリス・オアナ:ギター独奏のための「ティエント」
- フランチェスコ・モリーノ:二重協奏曲 第3番
- ラヴィ・シャンカール:魅惑の夜明け
- ヘンデル:フルート・ソナタ ト短調 作品1-2
- カーター:スクリーヴォ・イン・ヴェント(風に書く)
フルート・ソロ - リヴェ:クラップ
- バルトーク:ルーマニア民俗舞曲
- イベール:間奏曲 アンコール
- ヴィラ=ロボス:モディーニャ アンコール
作曲家の国籍を順番に見ていくと、アルゼンチン、フランス、イタリア、インド、ドイツ、アメリカ、ハンガリー、ブラジルと多岐に渡る。また18世紀バロックから21世紀の現代音楽まで時代(様式)も幅広い。
パユは言わずと知れたベルリン・フィル首席フルート奏者。今年6月28日に開催されたヴァルトビューネ野外コンサートでも彼はステージに乗っていて、パユが吹く「スター・ウォーズ」「E.T.」「インディー・ジョーンズ」「大いなる西部」「ベン・ハー」が衛星中継で聴けて感激したものだ(指揮はサイモン・ラトル)。今まで生で聴いた感想は下記。
- ベルリン・バロック・ゾリステン with エマニュエル・パユ
(2014) - レ・ヴァン・フランセ@いずみホール
(2012) - パユ×ピノック/J.S.バッハのフルート・ソナタ
(2010)
僕自身、趣味でフルートを吹くのだが、パユの魅力は音量のコントロールが完璧なこと、さらにノン・ヴィブラートから高速ヴィブラートまで変幻自在であるということ。大きな太い音を出すことは比較的容易いのだが、難しいのは繊細な最弱音なのだ。しかしパユは決して掠れない。その特徴が際立っていたのがヘンデルのソナタ。バロック音楽なので基本的にノン・ヴィブラートだった(伸ばす音の中腹で装飾的にかける程度)。スタカートの一音一音も粒が立ち、整っていた。リヴェの「クラップ」では吹かずにカバードキーを叩くだけの演奏法が面白かった。
ラヴィ・シャンカール(インド)の曲は予め録音されたシタールとの共演。
アメリカの作曲家カーターの作品は重音やフラッターなど特殊奏法があり、また尺八や篠笛を連想させる響きもあった。
バルトークは一本芯が通っていて気高い。そして尖った演奏。
フルートの貴公子パユの縦横無尽のテクニックに酔い痴れた夜だった。
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