ジュラシック・パークからジュラシック・ワールドへの道
映画「ジュラシック・パーク」は1993年6月11日に北米公開された。同年12月15日には「シンドラーのリスト」が公開されている。「ジュラシック・パーク」はアカデミー賞で音響編集賞・録音賞・視覚効果賞の3部門で、「シンドラー」は作品賞・監督賞・脚色賞・撮影賞・編集賞・美術賞・作曲賞の7部門で受賞した。つまりこの年はスピルバーグ映画がオスカー10部門を制したのである。全く趣向が異なる映画を立て続けに世に送り出す。スピルバーグでしか成し得ない離れ業であり、絶妙なバランス感覚だ。
1993年6月19日、大阪フェスティバルホールでジョン・ウィリアムズはボストン・ポップス・オーケストラを指揮し、「ジュラシック・パーク」のテーマを披露した。僕もその場にいた。映画が日本で公開されたのは7月17日だから、それより前に聴いたことになる。恐竜をイメージさせるような凶暴さや荒々しさはなく、nobleな(気高い/堂々とした)音楽に魅了されたことを、つい昨日のように鮮明に憶えている。
あれから22年が経った。
「ジュラシック・ワールド」の評価はA+。
公式サイトはこちら。
いやぁ、むちゃくちゃ面白かった。3D効果も抜群で、鳥肌が立った。新種インドミナス・レックスのあの迫力!僕は第一作目よりこちらの方が好き。
コリン・トレボロウ監督は現在40歳。「彼女はパートタイムトラベラー」(2012)で長編映画デビューを果たし、その才能に惚れ込んだスピルバーグが今回の大抜擢を決断した。2作目だぜ、信じられる!?この夢のような立身出世物語(success story)は「GODZILLA ゴジラ」(2014)のギャレス・エドワーズに匹敵すると言えるだろう(ギャレスも2作目)。ちなみにコリン・トレボロウは既に「スター・ウォーズ エピソード9」の監督が決まっており、ギャレスはスター・ウォーズのスピンオフ映画第1弾「ローグ・
全篇が「ジュラシック・パーク」へのオマージュに溢れている。恐竜が子どもたちの乗る車を襲う場面、発煙筒でティラノサウルスを誘導する場面、そしてTレックスの雄叫びで締めくくられるのも見事に継承している。それだけではなくディズニー「ファンタジア」の恐竜の場面とそっくりなショットもあるし、翼竜が人々を襲う場面はアルフレッド・ヒッチコック監督の「鳥」への深い敬意を感じる。
気持ちがバラバラだった家族が絆を取り戻すというサブ・ストーリーもいい。脚本がよく練られている。
少年たちがあの島に近づくと、懐かしいホルンのソロが聴こえてくる。やがてジョン・ウィリアムズ作曲「ジュラシック・パーク」のテーマが高鳴り、「嗚呼、ここに戻ってきたんだ!」という高揚感があった。長い歳月を経て、漸くテーマパークは完成した。僕の脳裏には4歳の時に両親に連れて行ってもらった、大阪万博の光景が蘇った。
それにしても映画一作だけ観てコリン・トレボロウの才能を見抜くスピルバーグの慧眼は本当に凄い。「スター・ウォーズ エピソード9」の公開が待ち遠しい(今から4年後)!
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