「任務遂行不可能/ならず者軍団」(ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション)
評価:A-
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5作目となるこのシリーズ、毎回監督が違うというのが面白い。しかし一定の水準を保っているのだからさすがだ。トム・クルーズの力量なのだろう。
当初はトムの派手なアクションばかり目立ち、チーム・プレイ感が薄かったのだけれど(007とどこが違うの?)、J.J. エイブラムスが監督した3作目くらいから漸く「スパイ大作戦」らしくなってきた(J.J. は4・5作でもプロデューサーとして名を連ねている)。
今回は3作目から登場しているベンジー(サイモン・ペッグ)に焦点が当てられている。
脚本・監督を兼任したクリストファー・マッカリーの手腕は大したものだ。定番のカー・チェイスや、畳み掛けるように続くバイク・チェイスも大迫力だし、水中での不可能任務で醸し出す緊張感も上手い。
ウィーン国立歌劇場を貸し切ってのロケにもびっくりしたが、ここで展開されるプッチーニのオペラ「トゥーランドット」(演奏するのはウィーン国立歌劇場管弦楽団=ウィーン・フィルの楽員)上演中の暗殺計画は明らかにアルフレッド・ヒッチコック監督「知りすぎていた男」(1955)へのオマージュである。「知りすぎていた男」は政府要人をコンサートでシンバルの音に合わせて銃殺しようとする物語だが、「ローグ・ネイション」ではテノールのアリア”誰も寝てはならぬ”最後の最高音H(=シ。ルチアーノ・パヴァロッティが得意としたハイCの半音下)がきっかけとなる。アルト・フルートを改造銃にして持ち込むというアイディアも秀逸。ただ60年前ならともかく、現代ではサイレンサー(消音器)を使用しているわけだから、音のカモフラージュは本当に必要だろうか?と疑問を感じた。実際、トムはそのタイミングより早く発砲するが、捕まらずに会場を去るわけだし。
以降、ヒロインが登場するたびに”誰も寝てはならぬ”の旋律が登場するのが洒落ている(ミステリアスなヒロイン像とトゥーランドット姫の3つの謎掛けが重ね合わされている)。それから今回の音楽はシリーズ中、一番ラロ・シフリンのテーマ曲(とそのバリエーション)を多用しているのではないだろうか?如何にも「スパイ大作戦」という雰囲気が出ていて良かった。
ロンドンの中古レコード店に登場する金髪の連絡員(ハーマイオニー・コーフィールド)が凄く可愛かったのに、あっさり殺されてしまったので唖然とした。もう一寸彼女の活躍を観たかった。で真のヒロインはスウェーデン女優レベッカ・ファーガソン。大人の女という感じで格好良かった。スウェーデンといえばグレタ・ガルボやイングリッド・バーグマンを輩出しており、美人の産地だね。
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