映画「ターナー、光に愛を求めて」
評価:B+
原題は"Mr. Turner"。アカデミー賞では美術、衣装デザイン、撮影、作曲の4部門にノミネートされた。公式サイトはこちら。
マイク・リー監督はカンヌでパルムドールに輝いた「秘密と嘘」とか余り好きじゃないのだけれど、今回初めて「いい」と想った。
主演はティモシー・スポール。「ハリー・ポッター」シリーズのピーター・ペティグリューや「スウィーニー・トッド」の役人バムフォード、「英国王のスピーチ」のウィンストン・チャーチル役などで知られている。本作でカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞。芸術家の崇高さと庶民的な下品さー聖と俗の同居を巧みに演じ切っている。
物語的には画家の伝記映画、例えばロートレックを主人公とした「赤い風車」とかモディリアーニを描く「モンパルナスの灯」、「炎の人ゴッホ」などの枠を踏み越える作品ではないが、本作の魅力は兎に角、撮影監督ディック・ポープによる映像美、これに尽きる。ターナーの描いた絵の世界、その光と影の織りなす綾が目の前のスクリーンで鮮やかに展開されてゆくのだ。圧巻である。
ちなみに「007 スカイフォール」でジェームズ・ボンドとQがロンドン、ナショナル・ギャラリーで合う場面がある。ふたり話をしながら見ている絵がターナーの「戦艦テメレール号」。2005年に行われたイギリス国内の一般投票により「最も偉大なイギリス絵画」に選ばれた。
「スカイフォール」の映像もこのターナーの絵を意識している(撮影監督はロジャー・ディーキンス)。両者を観比べてみるのも一興だろう。
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