マッドマックス 怒りのデス・ロード(3D字幕版)
評価:A
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狂っている。最初から最後までテンション・マックス。途轍もない映画だ。
ジョージ・ミラー、御年70歳。イカれたジジイである。誤解のないよう断っておくが、勿論褒め言葉である。前作からなんと30年ぶりの新作。その間に子豚さんが主人公の映画「ベイブ/都へ行く」やペンギン・アニメ「ハッピー フィート」(アカデミー長編アニメ映画賞受賞)を監督して好々爺になったかと思いきや、突然の豹変ぶり。
敵襲を受けながらも乗り物がひた走りに走り続ける映画という意味で、本作はジョン・フォード監督「駅馬車」を彷彿とさせる。またシャーリーズ・セロン演じるヒロインは「約束の地」を探して放浪するわけだが、これって旧約聖書の「出エジプト記」を意識しているんじゃないかな?ほら、モーゼ率いるイスラエルの民が真っ二つに割れた紅海を渡った後、それを追ってきたエジプト兵が一気になだれ落ちてきた海に飲み込まれてしまうじゃない?あれとよく似た場面が本作にもあるんだ。
スピーカーがいっぱいあって巨大なスピーカーとアンプがついたトラック「ドゥーフ・ウォーリアー」のアイディアには笑った。これに乗った兄ちゃんはヘビーメタルを延々と演奏しながエレキ・ギターから火炎放射する。戦意を高揚させるためだけに疾走する、いわば軍楽隊の代用だね。意味がなくて最高!
本作で主人公のマックスはひたすら「癒やし(Healing)」の役割を果たす。車を修理したり、輸血したり、気胸の救急処置を施したり。考えれば考えるほど奇妙な映画だ。もしかしたら監督は彼にキリストのイメージを重ねているのかも知れない。ちなみにジョージ・ミラーは医師を志して医科大学に進学。学生時代に短編映画を制作してコンクールに出品したところグランプリを獲得したのが契機となり、この業界で働くようになった。食えない時は救急隊員として働いていたこともあるという。
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