四人姉妹についての考察〜映画「海街diary」
評価:B+
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四人姉妹というのは小説や漫画の題材になりやすい素材らしい。その原点はオルコットの「若草物語」(1868)だろう。我が国では谷崎潤一郎が「細雪」(1948)を書き、五木寛之は「四季・奈津子」を上梓している。また江崎グリコの「ポッキー」CMから派生した「四姉妹物語」という映画もあった。漫画では大林宣彦監督が映画化した大山和栄の「姉妹坂」がある。そして吉田秋生「海街diary」の登場だ。
要するに美しい四人姉妹というのは絵になるんだよね。男だけの四人兄弟じゃ、むさ苦しくて駄目なんだ。ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」が男三人。そこまでだな。フジテレビ「若者たち」が男四人兄弟に長女ひとり。どうしても紅一点は欲しいところ。
「海街diary」は淡々とした映画だが、なかなか味わい深い作品だった。四人の女優のアンサンブルが見事で、まるで弦楽四重奏曲を聴いているかのよう。綾瀬はるかはしっかり者の長女。硬い蕾という印象。次女の長澤まさみは登場からベッドシーンで、服の露出も高く、熟した果実。三女・夏帆はのほほんと、ふわふわしている。四女の広瀬すずはとびきりの美少女。見飽きないねぇ。菅野よう子の音楽も静かに物語に寄り添っていて、中々いい。ただこの作品でカンヌに勝負したのは無謀かな。無冠に終わったのも宜なるかな。
次々と出てくる食べ物が美味しそう。おばぁちゃんの梅酒、生しらす丼、しらすトースト、ちくわカレー、アジの南蛮漬け、アジフライ定食……。そしてこれらは死者の想い出と密接に結びついている。
余談だけれど桜の場面を観ながら、是枝裕和監督が2011年に演出したAKB48「桜の木になろう」のミュージック・ビデオは救いようのない駄作だったなぁ、と想い出した。また本篇には江ノ島電鉄「極楽寺駅」が何度も登場するが、ここって高橋栄樹監督によるAKB48「君の背中」(センターは佐藤すみれと多田愛佳)MVに出てきたなぁ、と何だか懐かしかった。
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