前代未聞のドヴォルザーク定期〜寺岡清高/大響
5月29日(金)ザ・シンフォニーホールへ。
寺岡清高/大阪交響楽団でオール・ドヴォルザーク・プログラム。
- 交響詩「水の魔物」作品107
- 交響詩「真昼の魔女」作品108
- 交響詩「金の紡ぎ車」作品109
- 交響詩「野鳩」作品110
- 交響詩「英雄の歌」作品111
今回の定期のユニークな点は全て交響詩であり、しかも作品番号が107から111まで連続しているところ。ちなみに交響曲 第9番「新世界より」は作品95、チェロ協奏曲は作品104。だから最晩年の作品群と言えるだろう。これら交響詩はCD時代になって単独なら交響曲との組み合わせでレコーディングされる機会も増えたが、まとめてというのは珍しい。また「英雄の歌」は単独でも演奏される機会が殆どない(寺岡の言葉を借りると「継子扱いされている」)。こういう挑戦的なプログラミングはドヴォルザークの母国チェコでもないそう。客の入りは7割程度でまずまず。
寺岡の指揮は「水の魔物」からキビキビしている。「真昼の魔女」は牧歌的に開始されるが、途中魔女が現れると緊迫感が走り、コントラストが鮮やか。「野鳩」は劇的な演奏でディクション(発音法)がくっきり。「英雄の歌」は感興豊か。とっても良かった。大満足。
なお、「野鳩」の葬送行進曲はマーラーを想起させる。考えてみればマーラーはボヘミア生まれであり、ドヴォルザークと同郷なのだ。ちなみに「英雄の歌」はマーラーがウィーンで初演を指揮している(その日はブラームス追悼として交響曲第2番も演奏された)。「野鳩」初演の指揮はヤナーチェク、「金の紡ぎ車」はハンス・リヒター。リヒターはワーグナー「ニーベルングの指環」全曲やブラームス:交響曲第2番、第3番の初演も振っており、当時の作曲家たちの面白い人間関係が浮かび上がってくる。
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